芳川地区の昔と今を知って 地域づくり協議会くるま座部会を中心に紙芝居制作

「先人が苦労した歴史や文化、農業に取り組む思いや願いを、多くの人に伝えたい」。松本市芳川地区で、同地区の有志でつくる「地域づくり協議会くるま座部会」を中心に、「『芳川〝水ものがたり〟四ケ堰~いまの暮らし』プロジェクト」が進んでいる。
スタートは昨年4月。水で苦労した過去を分かりやすい紙芝居にする、農作業風景やスクールファームなど今を伝える動画を作る。この二つが活動の柱だ。
紙芝居作りは、地元の松本国際高校(村井町南3)の生徒に絵を依頼。ストーリーは過去に地区で作った小学校向け副読本から抜粋した。地域の人が資料をそろえ、同高教諭が脚色した。
大勢の願いが込められ、出来上がった紙芝居は2月27日、芳川小学校でお披露目する予定だ。

紙芝居から新しい可能性探る

紙芝居「芳川 水ものがたり」は、松本市芳川地区の水に関する歴史を語る内容だ。かつては奈良井川の恵みのみで農業をしていたが、大雨で堰(方言でせんげ)が壊れたり、日照りで水が届かなかったりするトラブルがあった。水の取り合いもあったという。1872(明治5)年、地元の名主、百瀬三七らがリーダーとなり、安定して水が使えるよう、かんがい用水を整備した―といった内容だ。
子どもが共感して見られるようにと、現代の小学生が明治7年にタイムスリップし、当時の人からその話を聞くストーリーになっている。
芳川地域づくり協議会くるま座部会を中心にした活動「『芳川〝水ものがたり〟四ケ堰~いまの暮らし』プロジェクト」の活動の一つ。四ケ堰とは、百瀬三七らが整備し芳川地区を支えた用水路のことだ。同会の会員たちは「水で苦労した歴史などが伝わっていない」「今、農業に関わっている人、頑張っている姿が、若い世代には見えていない」という問題意識を持っていた。

高校生も協力 2月27日報告会

まず紙芝居に着手した。絵は、松本国際高総合進学コースマンガ・イラスト専攻の3年生が担当。9月には現地視察を行い、水を一定の割合で分配する「四ケ堰円筒分水」などを見学。懇談会も行い歴史や現状を学んだ上で、生徒13人が挑戦した。2度の選考会を経て、高瀬八朔さん(18、ペンネーム)の作品に決まった。
高瀬さんは「自分も芳川地区に住んでいるが、水の歴史についてはあまり分かっていなかった。視察や懇談会で話を聞き、地元について深く知ることができた」と話した。
ストーリーは同地区で作られた小学校向けの副読本「わたしたちの芳川」をベースに、同高の石本ゆう子教諭(58)が脚色した。同高声優部がナレーションを担当する。2月27日に芳川小学校で開く報告会では、紙芝居のデータをスライドで上映し、小学生や地域の人、マンガ・イラストコース専攻の3年生らで観賞する予定だ。
昔を伝える紙芝居の次は、現代の写真や動画編集などに着手する。公民館で開く農業体験、芳川小のスクールファームなど、これまで撮りためた映像を活用する。地域の人に〝語り部〟としてナレーションを担当してもらう計画だ。
事務局の芳川公民館の永田幸彦館長(67)、地域づくりセンターの中井香保里センター長(53)は「紙芝居と動画は、完成して終わりではなく、そこがスタート。紙芝居はいろいろな場所で上演できる。語り部を育てる活動も。さまざまな可能性を探ってみたい」としている。