安曇野市の書家 一志水鏡さん初の作品写真集「生活の中 書を身近に感じて」

安曇野市穂高有明の書家、一志水鏡さんは初の作品写真集「水鏡 こころ模様」を自費出版した。現代の言葉を題材に、その感情やリズムを表現する書道「近代詩文書」と呼ばれる作品を、自然や日常と調和させて見せている。「この作品集で、敷居が高いというイメージの書を、身近に感じてくれたら」と願っている。

思いと文字の迫力伝わる写真

詩人の八木重吉や同じく詩人の谷川俊太郎の作品のほか、一志さん自作の俳句を書に。硬軟が調和し、表情があるように躍動する文字から、その時々の、一志さんの感動が伝わってくる。
こうした作品を、桜の花の下や新緑、雪景色の中など、四季折々の風景に展示し、自然と融合。また、安曇野高橋節郎記念美術館(同市穂高北穂高)の旧高橋家住宅主屋にも飾り、その建物の風情と作品をマッチさせた。
一志さんの代表句という「一日を麦酒の泡に沈めけり」の書の写真は、書作の一部をカットし、斜めに撮影。「麦酒」や「泡」の文字を際立たせた。
写真を担当したフォトグラファーの宮原あやさん(塩尻市広丘高出)は、「一般的な書の作品集では、こういう撮り方はしないが、こうした方が文字の迫力が伝わると思った」と狙いを説明した。
「ことさらに見たい愛でたい桜かな」の書作は、ピンクの紙に書き、満開の桜と共演。桜の花の「愛でたさ」を強調した。
また、ダダイスト詩人、高橋新吉の「皿」の書作は、多数書かれた「皿」の字から、皿の個性が伝わってくるようで、書作の前には何枚もの皿を一緒に展示。「皿」の文字と実物の皿を対比させた。

「ただ、真正面から撮影した書作だけを並べた作品集にはしたくなかったし、書が暮らしに密着し、身近になってほしかった」
2002年、初の書作展を開いて以降、創作活動を続け、多数の入賞、受賞をする中で、自身の作品集に対してこうした思いを持ち続けていた一志さん。
16年ごろ、松本市内で開かれた、ある作陶展で宮原さんと出会った。「作品を見る感性が一致していた」と、意気投合。作品集の制作に向け、具体的に動き出した。
「私の思いが込もった、その分『重い』作品集です」と笑顔で語る一志さん。「書は特別なものではなく、日々の生活になじむもの」。この思いを筆に託す。
縦23㌢×横18㌢。127㌻。3080円。
問い合わせは宮原デザイン企画室TEL0263・52・6865