
赤い髪がトレードマークの鰐川冨代子さん(88、安曇野市豊科南穂高)は、「ハーモニカミュージシャン」だ。60代でこの楽器と出合い、音色の優しさと演奏する楽しさから、今では人生のパートナーに。自身の座右の銘は「若さとは年齢ではなく心である」。赤髪とハーモニカがこの言葉を実践する原動力だ。
仲間と練習続け 4月に発表会
髪を赤に染め始めたのは7、8年前から。最初は茶、紫色などに染めていたが、「印象が暗くなってしまった」。ある時、なじみの美容師から「任せて」と言われて染めた色が赤だった。
元々、赤は好きな色。普段着も、赤のセーターに、赤が差し色になったズボンを組み合わせるなど、ファッションにも上手に取り入れている。「赤色は気分が上がるね」。鰐川さんにとって赤色は、元気の源だ。
ハーモニカは約20年前、役員を務めていた松本協立病院(松本市)の「健康友の会」の友人から勧められたのがきっかけで始めた。病院内の場所を借り、3~4人で練習。徐々に仲間が増え、サークルを立ち上げた。デイサービスなどでの慰問にも力を入れ、「『また来てね』と言われるのが張り合い。うれしいです」と笑顔を見せる鰐川さん。
その後、松本から安曇野に引っ越し、自宅の敷地内に「ハーモニカカフェ」をオープン。ここではハーモニカ教室を開き、コーヒーや、手作りの煮物、漬物などを振る舞った。「ゆっくり楽しんでもらおうと思ってね」という鰐川さんならではのおもてなしの心だ。
コロナ禍の影響で、残念ながらカフェのサービスは休止したが、教室は継続。その教室には現在、4グループがあり、鰐川さんが所属する「ハーモメイツ」には、70~80代の男女6人のメンバーがいる。月4回、講師から指導を受けている。
音楽が大好きという鰐川さん。子どもの頃はピアノなどを習う場も、機会もなかったが、独学で勉強。楽譜を読めるようになったという。「好きこそ物の上手なれ」だ。
ハーモニカも同じ。現在の鰐川さんのレパートリーは、童謡、唱歌を中心に200曲以上。特に好きな曲は「浜辺の歌」で、「自宅で一人で吹くこともあるよ」。
買い物をして、家族の食事を作ったり、大好きな花の世話をしたりと、忙しい毎日を送るが、「ハーモニカを吹く時間は、生活の中でなくてはならない宝物」と大切にしている。
4月12日には安曇野市穂高交流学習センターみらいで発表会が控えている。現在はそこで演奏する「この広い野原いっぱい」などを練習。中でも「ここに幸あり」はソロ演奏で、「ハーモニカミュージシャン」の腕の見せどころだ。
「昔の曲はメロディーがきれい。忘れ去られないためにも演奏している。体が動く限り吹き続けたい」。赤髪と同様に、心の中も情熱で赤く燃えている。