天空に現れた不思議な夕焼け雲の「目」(塩尻市)

天空に現れた目の模様を連想させる夕焼け雲。デジタルカメラの多機能を操作し超高感度で撮影=ニコンD5、ニコンニッコールED AF-S 28~70ミリ6日午後6時35分

地上の災禍にらむ天空のまなざし

秋の夕空に「2つの目」が輝いていた。6日夕、塩尻市片丘の東山山麓線「しののめの道」。空に浮かぶ夕焼け雲に、こちらを見詰めるような鋭い視線を感じて、シャッターを切った。地上に広がる新型コロナウイルスをにらみつけるような「まなざし」だった。
この日の夕焼け劇場は第2幕まであった。第1幕は日が沈む前の黄色や橙(だいだい)色に染まった空。圧巻だったのは日没の16分後から始まった第2幕だ。明るさが終わったかのように見えたその刹那(せつな)、にわかに輝きを増した。少し暗めで濃い紅色が、雲を神秘的な光彩に染めた。
インパクトの強い2つの雲を主役に据えて構図を決めていると突然、目のような模様が現れた。瞳に当たる部分は、手前を流れる動きが速い小さな雲。偶然、タイミングを合わせたように後ろの雲と重なった。大自然が演じる妙。第2幕は約8分で終演となった。
「夕焼けは、なぜ赤いの?」。子どもに分かるベストアンサーを探してみた。「太陽光は虹の7つの色が混ざっているよ。太陽が低い位置にある夕方は、光が真上から来るよりも長い間、空気の層を通る。その間に青や他の色はみんな散らばってしまい、残った赤い光だけが届くから雲も顔もみんな赤く染まるんだよ」
秋の季語「つるべ落とし」の夕暮れ。松本平南部の夜景がにわかに輝きだした。
(丸山祥司)