【ビジネスの明日】#23 ダイソー社長 大出寿文さん

創業から60年以上たつ、外壁・屋根塗装の「ダイソー」(松本市島立)。1級建築塗装技能士など30種類以上の資格を持ち、自ら現場で陣頭指揮を取るのは、3代目の大出寿文社長(51)だ。「建物のことなら何でもお任せ」が強みで、今後、水回りのリフォームなどに力を入れる。

資格30種以上現場でも先頭に

「家の壁の塗り直しなどは15年周期。そこでお世話になったお客のアフターフォローが大事になってくる」と強調。そこで注力するのが風呂、台所、トイレなど、水回りのリフォーム。「家のことならダイソー」というお客の信頼感を得て、何世代にわたって仕事を依頼されるような循環型を目指す。
一方、こうした個人客と並ぶ、同社の2本柱の1つ、公共工事では、2009年度に茨城県の橋の補修工事で「国土交通省関東地方整備局優良工事技術者局長賞」を受賞するなど、新工法を日々研究。「今はネット社会で、お客の方が詳しいこともある。常に新しい技術などに興味を持っていないと」と、気を引き締める。

大学卒業後、松本にUターンして長野銀行に就職。「当初は家業を継ぐつもりはなかった」が、1998年に現会長の父是男さん(75)が交通事故に遭い考えが一変した。
「このまま会社をなくしていいのか」。会社を継ぐ決意を是男さんに伝えるが答えは「ノー」。当時、バブル経済が崩壊し、建築業界が厳しい状態で、「息子には安定した職業を続けてほしい」という親心からの返答だった。しかし、大出さんは諦めず、銀行員の傍ら、週末の休日を利用して、父の現場の手伝いを約3カ月間続けた。その姿を認めた是男さんは、外で修業することを条件に、家業を継ぐことを許した。
31歳のときにダイソー入社。何でも先頭に立ってやってきた父の影響から、「自分も」と、翌年、2級建築施工管理技士を皮切りに、2級建築士など多くの資格を取得。「社長が現場監督も兼ねるのは珍しいのでは」と笑う。

昨年からのコロナ禍の影響は、少なからず出ている。例年ならこの時期は、書き入れ時で、仕事は2カ月先まで入るが、現在は1カ月。「社会不安がそうさせている」と分析し、「利益を圧縮してでも値引きなどでPRしたい」と話す。
16日から、税抜き金額から最大12%引きなど、7大特典が付くキャンペーンを行う。
ダイソー℡0263・88・6388

【プロフィル】 おおいで・としふみ1970年、松本市出身。松本深志高校から専修大学商学部卒。2001年4月、ダイソー入社。13年、社長就任。同市島立。