【ビジネスの明日】#58 soft keys代表 滝澤雅大さん

IT系こそ「地域密着」で

「IT(情報技術)系の仕事だからこそ、地域密着で、顔が見えるようにしたい」。こう話すのはビジネス用のLINE(ライン)アカウント・LINE公式アカウントを使って集客改善のコンサルティングなどをする「soft keys(ソフトキーズ)」(松本市里山辺)の滝澤雅大代表(34)だ。「当面はLINE一本で勝負する」という。
LINEはスマホやパソコンなどを使い、無料でメッセージのやりとり、音声通話、ビデオ通話ができるアプリケーション。LINE公式アカウントの最大の特長は、「友だち登録」した複数の人たちに一斉にメッセージが送信できる点で、「キャンペーン情報やクーポンなどが送れる。これが基本になる強み。飲食店や美容関係の店との相性がいい」という。
これに拡張機能を追加するなど、カスタマイズしてその店独自のアプリケーションに仕上げるのが腕の見せどころ。「飲食店の場合、新規客が2度目に訪れる確率は5~10%しかなく、ここをクリアするハードルが一番高い」とし、「『2回目来店特典』などを対象の友達にピンポイントで、時期なども見定めて送れるのも相性の良さ」と分析する。
現在は美容関係のお客が中心だが、今後は業種も多方面に広げ、サービス内容もLINEを基本に据えた中で、インスタグラムやフェイスブック、ユーチューブなどとの組み合わせも検討するという。

戸倉町(現千曲市)出身。高校卒業後、日本カジノスクール(東京都)に進み、「カジノディーラー」を目指した。「当時、『日本にもカジノができる』という風潮があり、興味があった」と振り返る。
しかし、ちまたの「カジノ構想」は実現せず、ディーラーになる道もいったんは諦めたが、ポーカーなどカードゲームの純粋な楽しさは忘れがたく、昨年8月、長野市にポーカーバーを共同で出店した。現実として店の経営という仕事も生じるが、「それはそれ」と割り切り、本業は「LINE一本」とぶれない。
IT系の仕事は特に、場所を選ばないのを利点に挙げることが多いが、「地域密着」にこだわる。「『使い方が分からない』と言われれば、直接出向いて対応する。この『超アナログ』なやり方がなくなれば、全てが味気なくなる」といい、「やっぱり基本は面と向かってでしょ」。人間味にあふれている。

【プロフィル】
たきざわ・まさひろ 1989年、千曲市出身。高校卒業後、日本カジノスクールで約1年半学ぶ。都内のアミューズメント施設などで働き、26歳の時に新潟県に本社のある広告代理店に就職し、松本支社に配属。2019年、soft keysを創業し、代表就任。