【ビジネスの明日】#24 信州塩嶺高原カントリー社長 山田正治さん

地域活性に力 練習場運営も

開場から半世紀近くたつ、塩尻市内唯一のゴルフ場、塩嶺カントリークラブ(CC)。同クラブを運営する信州塩嶺高原カントリー(同市北小野)の山田正治社長(81)は、このゴルフ場の開発から携わり、過疎化が心配された地元の活性化を担ってきた。コロナ禍の影響で、昨シーズンは来場者は激減したが、今シーズンは回復傾向。「会員制ゴルフ場としていい形で次世代にバトンタッチしたい」と先を見据えている。
3月上旬に今シーズンの営業を開始した塩嶺CC。昨シーズンはコロナ禍の影響で、春から夏にかけての来場者は「例年の半分」と激減。しかし、秋ごろから回復傾向になり、今シーズンは、春先の天候にも恵まれ、例年の8、9割まで戻り、幸先のいいスタートを切っている。
「東名阪地域の来場者は減ったままだが、コロナ禍で遠出ができない県内客が、運動不足の解消も兼ねて利用してくれる」と見ている。
4月から、松本市並柳1のゴルフ練習場「松本中央ゴルフセンター」の運営会社を子会社化し直接、運営に乗り出した。現在、塩嶺CCを支えているのは、60、70代の「元気のいい中高齢者」で、若いゴルフ愛好者を育てるのが急務。
「練習場の方が取っ付きやすい。そこで楽しさを知ってもらい、本格的に始めるきっかけになれば」と、将来的な相乗効果を期待する。

愛知県清須市出身。家業の農機具製造会社で第一線で活躍していた30歳のころ、知り合いから「ゴルフ場開発に参画しないか」という話があり、転身した。
「当時、標高が高い北小野地区一帯は、米もあまり取れず、過疎対策として地元を挙げてゴルフ場や別荘の誘致の機運が高まっていた」と振り返る。
1972年に信州塩嶺高原カントリーを設立し、社長に就任。翌73年5月に「信州塩嶺高原CC」の開業にこぎ着けた。
71年10月開場の松本CC、72年10月開場の穂高CCとともに、中信地区のゴルフ人気をけん引してきた塩嶺CCも再来年には開場50周年を迎える。
塩嶺CCの敷地は、市と地元の財産区から全体の3分の1ずつを借りている。「地元の雇用も創出でき、地域が良くなったのでは。100点とは言わないが、70、80点はあげられる」と自己評価し、「今後も会員の財産の管理者として、会員に喜ばれるクラブでありたい」と抱負を語った。

【プロフィル】  やまだ・まさはる 1940年、愛知県清須市出身。明治大学政治経済学部卒。1994年3月、クラブ名を「塩嶺カントリークラブ」に変更。2007年11月~18年10月、塩尻商工会議所第10代会頭を務める。現在、同会議所顧問。塩尻市大門泉町。