【像えとせとら】角前記念公園 耀映こどもの群像(塩尻市広丘野村)

「子らの未来開いた」喜びと誇り

塩尻市広丘野村の角前記念公園は、記者が車でよく通る道路沿いにある。車窓から見えるその公園にある銅像が、以前から気になっていたので、車を止めてみた。
像は3体1組。それぞれ高さ約2メートルの台座の上に、小学生ぐらいの子どもが載っている。3体は西の方角を向き、三角形をつくるように位置している。頂点の女の子は両手を上げ、勢いよくジャンプ。後ろの男の子と女の子は、先頭に立つ女の子を追い掛けているようだ。作者は同市広丘堅石出身の美術家、故古厩恭久(たかひさ)さん。
野村角前地区はかつて農地だったが、1977年の都市計画の見直しで市街化区域に編入され、宅地化して道路や上下水道、公園などを整備。市街地や工業用地を造成する大規模事業を行い、1989年に完成した。
像は、この大事業を後世に伝えようと建立された。当時の関係者の「子どもたちの未来を開いた」という喜びと誇りを、像が表現しているようだ。
現在、同公園の周辺は大掛かりな道路工事が行われ、交通規制もされている。本来、そこに暮らす人たちの憩いの場であるはずの公園は、周りから孤立した状況で、人影はない。像の前に立ち、大事業を成し遂げた当時は地区全体に充満していたであろう高揚感が、遠い記憶になりつつあることを感じた。