レンゲツツジと朝焼けが演じる「火焔の舞」(美ケ原高原)

目覚めた満開のレンゲツツジの群落と朝焼けが共演。サンライズ間近の光彩を際立てる=ニコンD5、ニコンED、ニッコール28-70ミリ6月20日午前4時25分、左上部が焼山

刻々と変幻する初夏の“光彩劇場”

美ケ原高原の松本市側で20日、ドラマチックで壮麗な夜明けに出合った。満開のレンゲツツジと朝焼けに染まった空が、初夏の“光彩劇場”のステージで共演。赤々と燃え立つ鮮烈な「火焔(えん)の舞」を演じて見せた。
午前3時45分。焼山付近の薄暗いカラマツ林で夜明けを告げるカッコウの鳴き声にレンゲツツジの踊り子たちが一斉に目覚めた。ノビタキやホオアカなど草原の小鳥たちの美しく優しいさえずりが、前奏曲のように聞こえてきた。
4時15分。高原のステージに新鮮な冷気が漂う。紅、赤、朱…。刻々と変幻する朝焼けの光彩が極限に達した。カメラのファインダーの構図の指定席で、レンゲツツジのプリマドンナがスカーレット(緋(ひ)色)を際立たせ鮮やかに舞った。
4時32分。真っ赤な太陽が浅間山の左方向から昇り、火焔の舞の第1幕が終了した。
レンゲツツジは、ツツジ科ツツジ属の落葉低木。名前の由来は、花と葉が輪状に並ぶ様子を蓮華(はす)の花に例えた、あるいは大きなつぼみの形状が食事に使う陶器の蓮華(れんげ)に似ている、など諸説ある。有毒植物として知られ花の蜜にも毒があり、オニツツジの別名も。花言葉は「情熱」と「堅実」。
梅雨空に情熱的に明るく咲き誇る赤い群落の心象風景は、人生の“応援花”として一生色あせることはない。(丸山祥司)