【小林千寿・碁縁旅人】#35 ドイツ・オクトーバーフェスト

ハンブルクから毎年メモリアル大会に参加しているマイケル君(2010年、当時9歳)

今年は世界中が大規模な「干ばつ」で、欧州は過去500年で最悪の水不足とのこと。猛暑、水不足に、光熱費、物価の高騰で庶民の生活は圧迫されています。
そんな中、ドイツの南、バイエルン州ミュンヘン市では9月17日から10月3日まで、3年ぶりにビールの祭典「オクトーバーフェスト」が開催されます。最初は1810年の皇太子ルートヴィヒとザクセン公女の結婚式のお祝いから始まり、そのまま国民を喜ばせるために続き、今の祭典として継承されています。
コロナ前は600万人が来場、700万リットルのビールが飲まれたとのこと。今年は3年分のビールを待っていた人たちで盛り上がるでしょう。
南ドイツの大きなビールジョッキをいくつも抱えてサーブ(提供)するチロリアン衣装の女性は健康的で勢いがあります。因(ちな)みに北ドイツと南ドイツのビールの度数は北の方が強いので、お気をつけてください。
私は毎年9月末の週末にドイツ囲碁協会主催で開かれる「ハンス・ピーチ六段メモリアル囲碁大会」(著者の弟子、日本に囲碁留学。ブレーメン初のプロ棋士、南米で囲碁指導中に死去)の応援のためにドイツを訪れる機会が多いです。
ドイツ国内持ち回りで、学校の校舎を借りボランティアの方々で行われている大会です。各小中高校から3人で1組のチームで参加(欧米では囲碁漫画『ヒカルの碁』方式と呼びます)。学校の地元の生徒のお母さんたちが作ってくれるランチも嬉(うれ)しく、生徒たちは寝袋持参で体育館、教室で1、2泊します。
今年は3年ぶりにデュッセルドルフ近郊で9月17、18日に行われます。久しぶりにドイツの青少年たちの成長を見たいのですが、残念ながら今年も行けそうもありません。
日本各地でも「オクトーバーフェスト」が行われるようになっています。ビールを飲みながらドイツの子どもたちが碁を打つ姿を思い浮かべていただけたら幸いです。(日本棋院・棋士六段、松本市出身)