朝日村歴史民俗資料館で初出土の刀子常設展示

朝日村歴史民俗資料館は、村内初出土の鉄製の刀子(とうす)を昨年末から、常設の「氏神遺跡」コーナーで展示している。同館学芸員の青木啓子さんらが半年がかりで保存処理に当たり、さびや劣化が激しい状態からよみがえった姿を公開している。
刀子は、時代によって用途や目的が変化してきた小刀で、同遺跡の平安時代の住居跡から出土。文章を扱う役人が木簡を削るなどの業務に使っていたとみられ、役人か同等の立場の人が生活していたと考えられる貴重な史料だ。
発掘時に県埋蔵文化財センター(長野市)がさび取りなどの応急処置をしたが、内部に残った塩分で劣化が進み、崩壊する恐れがあった。そこで青木さんが昨年7月から県立歴史館(千曲市)へ出向き、考古資料課の白沢勝彦さんの指導を受け、溶液で塩分を取り出す「脱塩処理」などを進めた。当初の見込みより2カ月以上かかったが、接合や樹脂塗布などを経て、12月にようやく作業を終えた。
今回は白沢さんらの協力で実現したものの、保存処理作業は専門的で難しく、小さな自治体では業者へ依頼するのは金銭的に諦めざるを得ない。
保存の過程も知ってほしいと報告書にまとめて紹介しており、青木さんは「当時の生活に思いをはせるとともに、保存処理にも光が当たる機会になれば」と話している。
午前9時~午後5時。月曜休館。同館TEL0263・99・2359