大正初期に発明・販売 ハイトリックとは?

安曇野市豊科郷土博物館で所蔵 おしゃれなハエとり器

「ハイトリック」って何だろう。高度なはかりごと?マジック?実は、大正初期に個人が発明し、名古屋市の時計店が特許申請して販売した際の商品名で、漢字を当てると「蠅獲器」。つまり「ハエとり器」だ。外観は大きなオルゴールに似ている。木製で、前面のすかし部分に絵などがはめ込まれ、しゃれた調度品にも見える。
「ハイトリック」って何だろう。高度なはかりごと?マジック?実は、大正初期に個人が発明し、名古屋市の時計店が特許申請して販売した際の商品名で、漢字を当てると「蠅獲器」。つまり「ハエとり器」だ。外観は大きなオルゴールに似ている。木製で、前面のすかし部分に絵などがはめ込まれ、しゃれた調度品にも見える。
1年半ほど前、安曇野市でハイトリックが見つかった。同市豊科郷土博物館学芸員の窪田尚幸さん(63)ら6人が、旧・堀金歴史民俗資料館(2012年度閉館)の資料整理をしていた時だ。1969(昭和44)年に矢淵寛一さんが堀金村(現・安曇野市)に寄贈した物と分かった。
「当時はハエをとるのに、こんなに豪華な物を使っていたのか?」と興味を持った窪田さんらは、同様の品について情報を探した。しかし、販売開始から100年以上たち、今では覚えている人も少ない。どういう仕組みでハエがとれたのかもよく分からない。
そんな中、王滝村の70代男性から、「小さい時に見た気がする。回転部分に甘い水などを塗ってハエが寄るようにしていた」と情報が寄せられた。画家・山下清の作品を展示する放浪美術館(茅野市)には、山下の絵が施されているらしいハエとり器があると聞き調査したが、その品は動かなかった。
窪田さんらが、動く品を初めて見たのは昨春。安曇野市豊科の70代女性が「実家の黒澤酒造(佐久穂町)にある」と伝えてくれたため、現地に出向いた。
使い方は、ねじで回転している部分に酒類などを塗ってハエを集める。回転により下部に移されたハエは、前面のすかし窓から入る光を目指して漏斗(ろうと)状の管を通り補修箱に収まるが、外からは見えない仕組み、と分かった。
豊科郷土博物館では、今後も「ハイトリック」に関する情報を募っている。興味のある人は、申し出れば館所蔵の品を見ることができる。同館℡0263・72・5672