「ママたちが気軽に外に出て楽しめる場所をつくりたい」。塩尻市の赤津聡美さん(37)はそんな思いで昨年から、マルシェや子どものセルフ撮影会を、友人の力を借りて企画しています。その原動力は、慣れない土地での子育てを経験して気づいた「人を楽しませることが好き」です。
マルシェに参加企画に興味湧き
赤津さんは子どもが通う幼稚園で出会った川口綾さん(38、同市)と意気投合し、peko×Ma.Rin(ペコマリン)の名前で、生花やビーズを使ったレジンアクセサリーを制作。一昨年、市内のマルシェに初出店したのをきっかけに、市北部交流センターえんてらす(広丘野村)で毎月開く「Teshigotoマルシェ」に参加してきました。
何度か出店するうちに、「自分も人と人とをつなげる場所をつくりたい」と思うようになります。
昨年10月、衣料品店・ロン都南松本店駐車場(松本市平田東1)で、「petitmarche(プティマルシェ)」を初めて開きました。近隣の雑貨店と手芸店にも声をかけ、初の3店舗合同のイベントを実現。
11月には、塩尻市内に開店したママ友の美容室で、子どもの成長の記録を家族や友達と一緒に写して楽しむ「セルフ撮影会」を企画しました。「子どもの入学時にそんな場所が欲しかった」という川口さんの発案です。
12月は2回目のプティマルシェを松本市内の住宅展示場で開き、女性11人が出店しました。天然酵母の蒸しパンの店、クリスマスオーナメントのワークショップ、ヨガ教室…。子育てが一段落して始めたパステル画を初めて展示販売した小林延江さん(52、同市)は、「勇気が必要だったけど、作品を介して知らない人と会話ができるのが楽しく、ありがたい機会をいただいた」と笑顔で話しました。
子育ての孤独感長男入園転機に
赤津さんは埼玉県出身。大学時代から東京都内で商店街の町おこしやボランティアに携わり、卒業後は料理教室の講師や飲食店のデザイン企画会社などで働きました。結婚して2015年に長野県へ。ホテルで働きますが出産で退職。友人・知人のいない土地での子育てに孤独を感じ、一人で泣いた時もありました。
自分と向き合う中で、「離れて暮らす親への孝行は、自分が楽しく幸せにしていること」と思うように。長男の入園を機に一気に交友関係が広がり、悩みや楽しさを共有し、時には愚痴を言い合う友達もできます。「昔から人を楽しませることが好き」「形に固定されず、みんなが楽しめる場所を自分で企画したい」ことに気づきます。
赤津さんについて川口さんは、「人に何かをしてあげたいという気持ちが人一倍強い人だと思う。こうなったらいいなあと思ったことを、一気に行動にもっていってくれる」。自身もいろいろな人に出会って、考え方や選択の幅が広がっているとし、「今の自分にもっと自信をもっていいのかな」と言います。
今、赤津さんが感じている課題は、孤独になりがちな女性をどうやったら外に出せるか。「誰でも新しい環境を楽しみ、活躍できるチャンスはある。ママになってもおしゃれや楽しむことを諦めなくていいことを伝えたいです」
撮影会を開催中来月イベントも
塩尻市広丘野村の美容室「write(ライト)」で自由に写真が撮れる「ちびっこ撮影会」、小学校入学記念の「ランドセル撮影会」を開催中。2月17日は、ロン都南松本店の一画でプティマルシェを開催。フォーマル向けのアクセサリー、子どもが遊べるビーズの店、ハンドマッサージなどが出店する。保育士による無料託児あり。詳細は赤津さんの公式ライン。