ロイヤルオートサービス 新車のディーラーベトナムに初出店

新車販売 まずは海外で実績を

中古車販売などのロイヤルオートサービス(松本市村井町南2)は13日、ベトナム・ホーチミン市にスズキのディーラー店を開く。同社の海外進出は初めて。ショールームとサービス工場を完備した店舗で、現地従業員を40人以上雇用する。
現在、自動車業界は、自動運転車や電気自動車の台頭など「100年に1度の大変革期」といわれ、ビジネスモデルが大きく変わりつつある。同社も主力の中古車販売や自動車修理が縮小すると見込み、約7年の準備期間を経た海外進出は、それに備えた一手だ。
「創業以来の大きな節目。海外で実績を積み、ゆくゆくは国内でディーラー事業を展開したい」と力を込める中田忠章社長(53)に、これまでの経緯や今後の展望などを聞いた。

整備や中古車の市場縮小を予測

ロイヤルオートサービス・中田忠章社長との一問一答は次の通り。
─海外初出店。今の心境は。
ベトナム進出を決めてから準備に7年を要した。ようやくこぎ着けたという感じだ。
─海外進出の理由は。
自動車業界が100年に1度の大変革期に来ている。「CASE(ケース)の時代」とよくいわれ、Cはコネクティブでつながること、Aはオートノマス・カーで自動運転車、Sはシェアリングでカーシェア、Eはエレクトロニックで電気自動車だ。この中で特に、自動運転と電気自動車の影響が大きい。
2011年に米国の電気自動車メーカー・テスラのショールームを視察した。完成車と一緒にシャシー、ハンドル、モーターなどが単品で展示され、それを見て衝撃を受けた。何年後かにはエンジンがモーターに代わり、うちの会社の売り上げの多くを占める整備部門が縮小するだろうと。同時に、自動運転と電気自動車が台頭すれば、中古車市場も縮小すると確信した。
そこで本格的に新車ディーラーに業態転換する必要を感じた。ただ、国内で中古車販売店が新車ディーラーをやるのはハードルが高い。ならばと考えたのが海外進出だった。海外でディーラーとして実績を積み、国内に戻って改めて新車ディーラーを展開したい。
─なぜベトナム。
タンザニア、ニュージーランド、東南アジア全般の3カ所が候補だった。ニュージーランドは経済的に成熟していて投資額が大きくなり、逆にタンザニアは新車が売れるにはまだ時間がかかるだろうとみて、2カ国が消えた。東南アジアに狙いを定め、インドネシア、マレーシア、ベトナムなどの中で、ベトナムが国内総生産の額などから自動車社会が発展する時期で、基本的には新車しか販売できないなどの理由で決めた。
─困難だったことは。
社会主義国で、全ての活動が政府の許可制。許可取得にすごく時間がかかった。また法律の施行が熟成されておらず、その場その場で解釈が異なったことも大変だった。
─店の概要や目標は。
店の大きさはショールームとサービス工場を合わせて約5千平方メートル。ベトナム人従業員46人と、自分も含め、日本人2人でスタートする。初年度売り上げ目標は3500億ベトナム・ドン。日本円換算で15億~17億円。2、3年後には販売台数2千台、売り上げは50億円が目標だ。
─今後の展開は。
5年以内にベトナム2店舗目を開き、一番の目標である県内で新車ディーラーを開設したい。カンボジア、ミャンマーなどへの進出も考えたい。
現状、中古車販売と整備が売り上げの8割を占めている。その構成比を新車販売、新規事業、現在の事業で各3割にしたい。そうするための海外進出で、大きな節目だ。

ロイヤルオートサービス
1987年3月、松本市庄内3に創業。資本金2700万円。従業員数187人。現在県内に、軽未使用車・軽中古車専門店の「ロイヤルカーステーション」、整備工場の「車検のコバック」など11店を展開する。