創業133年の松本館 文化財の広間「鳳凰の間」でカフェ

営業は平日中心建物眺めゆっくりと

松本市の「割烹(かっぽう)松本館」(丸の内)は、国の有形登録文化財である旧館大広間「鳳凰(ほうおう)の間」でカフェ営業を始めた。創業133年の同館初の試みで、「館(かん)カフェ」と銘打ち団体利用のない平日を中心に週2、3日ほど開く。
99畳の「鳳凰の間」は1935(昭和10)年に完成した。設計・監修・彫刻は市内出身の彫刻家・太田南海。「百花百鳥」をテーマにした華やかな天井画は金子嶺挙が手がけている。
カフェメニューは、地下水を使った「館オリジナルブレンドコーヒー」(650円)や「季節のわらび餅」(同)、抹茶など。信州産の甘酒やジュース、「藤むら」(中央2)の上生菓子なども提供する。
貸し切り利用のみだった同館がカフェを始めたのは、2022、23年と市内で開いた「マツモト建築芸術祭」がきっかけだった。名建築に現代アートを展示する催しで、「鳳凰の間」も会場の一つ。これまでの客層とは違う、若い人やアート好きな人が多く訪れ、感心の声が上がった。「建物の持つ力を改めて教えてもらう機会になった」とおかみの宮澤裕佳理さん。コロナ禍を経て増えた少人数利用の需要に、応えたい思いもあるという。「建物を眺めながらゆっくり過ごしてほしい。気軽に足を運んでもらえたら」
午後2~5時。営業日はインスタグラムで発信する。TEL0263・32・8000