レンゲツツジと星空が共演する真夜中の光彩(松本市・美ケ原高原)

天頂付近に昇った天の川に夏の星座がきらめく真夜中、ヘッドライトに浮かび上がるレンゲツツジの群落が赤い花の幻想の舞を繰り広げた=ニコンD5 AF-S ニッコール16ミリ、2024年6月20日午前0時50分~1時間露光

星の光浴びて幻想的な「妖艶の舞」

梅雨入りが例年より約2週間遅れの松本市・美ケ原高原。6月20日に日付が変わった真夜中、赤々と燃え立つレンゲツツジの花が、星空のステージで幻想的な「妖艶の舞」を繰り広げた。
午前0時50分、十三夜の月が南西の空低く移動し、星の輝きが増すのをひたすら待って撮影を開始。
天頂付近には、こと座のベガ(織り姫)、わし座のアルタイル(彦星)の七夕の星が輝き、天の川にはくちょう座が羽ばたく。見上げる星空はすっかり夏模様だ。
真夜中の気温は9・5度。レンゲツツジの花は、気温が下がる夜も開いたまま閉じない。満天の星空の下、大小さまざまの群落が、赤やスカーレット(緋(ひ)色)を際立たせ鮮やかに舞った。ヘッドライトを浴び浮かび上がる幽玄な花風情…。不思議な光彩に取り付かれ、自分の心の中に咲く夜のレンゲツツジを撮影して四半世紀になる。
レンゲツツジは、ツツジ科ツツジ属の落葉低木。命名は、つぼみの形が食事に使う陶器の蓮華に似ているから、あるいは、つぼみ全体の付き方がレンゲ(ゲンゲ)の花に似ているから、とも。葉や花の蜜に毒がある有毒植物として知られ、けいれんや呼吸困難を引き起こす。
明るく情熱的に咲き誇るレンゲツツジは、癒やしと感動、元気を与えてくれる人生の“応援花”のようだ。
(丸山祥司)