鮮烈な色の共演人の心模様のよう
松本市の中山霊園で3日、木の葉の鮮やかな色づきが小さな池に映り込んでいた。水面(みなも)の“秋色の領域”はさまざまな心理描写を連想させ、カメラを構える目線がくぎ付けになった。
豊かさを象徴するような「黄金色の舞」を演じるイチョウ。モミジは激しい情念を思わせる「火焔(えん)の舞」の風情だ。鮮烈な秋色の共演は、一部分が接して絡み合い、葛藤する人の心模様のようにも見えてくる。
色にはそれぞれ意味や力があるとされ、日常生活のさまざまな場面で活用されている。色彩心理学は、色が人に与える影響を心理や生理、感情などに分類して細かく分析していて興味深い。
黄色は、有彩色の中では一番明るい色。集中力や判断力、記憶力を高めるなどの心理効果があり、知性を刺激し行動を活性化させる。
赤は五感の中で視覚と関係が深く、炎や血などを連想させる。警戒心や注意力を喚起し、興奮をもたらす。色の中で最も波長が長く、交感神経に刺激を与え、体温や血圧、脈を上げる心理効果がある。
共に緑色だった葉が、別れの季節を迎え黄色と赤の別々の彩りに染まる不思議…。紅葉(黄葉)は、土に帰る前に見せる命の最後の輝きだ。揺れる水面の秋色の領域を眺めながら色彩心理を巡る旅が続いた。
(丸山祥司)