鹿島槍ケ岳・北壁の光彩(白馬村) 黎明の光と影神のすむ山

ヒマラヤ襞と氷河を持つ黎明の鹿島槍ケ岳。左側の北峰の直下に北壁が鋭く切れ落ち、カクネ里へとつながっている。壮麗神秘な朝だ=ニコンD5、ニコンEDAFVRニッコール80~400ミリ

朝夕の変幻する光彩の中、白無垢(むく)のように輝く山々は感動的でドラマチックだ。鹿島槍ケ岳北壁が彼岸前後の黎明(れいめい)に演じる神秘的な美しさにカメラで迫った。
3月20日午前5時15分。薄暗い空の下、北アルプスの八方尾根から鹿島槍ケ岳を望むと、左側に北峰(2841メートル)、右側に南峰(2889メートル)の双耳峰が浮かび上がる。北峰直下の北壁にできた幾筋もの縦じま模様は「ヒマラヤ襞(ひだ)」と呼ばれ、その険しさに目を引かれる。日本アルプスでは珍しい光景だ。
5時35分、東の空が赤々と輝き、白無垢の山肌がモルゲンロート(朝焼け)に染まり始めた。彼岸前後にこだわるのは、ヒマラヤ襞にできる陰影が、その立体感を際立たせるからだ。凄絶(せいぜつ)な北壁が赤々と輝き、神々のすむ光景に息をのむ。
北壁の下部には、2018年1月に氷河と認定された「カクネ里雪渓」が続く。平家の落武者の「隠れ里」が転じ「カクネ里」と呼ばれるようになったとされる。
残雪の時期、大町市街地側からは、知名度の高い「獅子」と「鶴」の雪形が観望できる。昔、北峰を「シシ岳」、南峰を「ツル岳」と呼んだとも。日が昇り、昼の表情に変わる北壁を仰ぎつつ、秀峰・鹿島槍ケ岳への思いは尽きない。
(丸山祥司)

投稿者: mgpress