2020.11.19 日本地域情報コンテンツ大賞・タブロイド部門で2年連続優秀賞

[創商見聞] No.45 市川 武彦(イチヒャク)

―「ものをつくる」から「ものを売る」ヘ転身
 高専卒業後、製造業に勤務し、生産ラインの構築や試作品製造などの仕事をしていました。その間、中国出張で驚きの体験をしたんです。何もなかった場所に半年後に行ったら街ができていた。なんてパワーのある国なんだろうと思いました。そんな光景を目の当たりにしたとき、これから求められるのは「つくる力」と「売る力」だと確信しました。売る力を付けるなら、企画提案のできる広告代理店で営業をすればいいかなと、東京に本社がある広告代理店に転職。そこで、新聞、雑誌、テレビなどの電波関係、ウェブなど広告周りといわれるものは全てやらせてもらい、経験を重ねてきました。
―その後、同僚とデザイン会社を立ち上げ、さまざまな企画を手掛けた
  松本の縄手通りには、いろいろなお店があります。それぞれのカラーが出せればと、一店舗ずつポスターを作らせてもらいました。媒体で取り上げられたのが縁で、FMまつもとのアシスタントを今もさせてもらっています。
ただ、本業の方では構造を変えなければと、もがいていました。松本商工会議所が起業家が集まる交流会を開いていることをネットで知り、新しい刺激を受けようと参加。そこでの出会いで、人脈もでき、仕事にもつながりました。また、商工会議所の小規模事業者持続化補助金で、デザイン会社のときにホームページを作成しました。ブログを通しての仕事依頼というのも大きかったですね。
とにかくいろいろなところに顔を出して、いろいろな人と会います。
 ―昨年12月にコンサルティング会社を設立した
昨年11月にデザイン会社を退職。チャレンジしたい気持ちが強く、起業しました。根本にあったのは、「いい商品は、見せ方を変えたり売る場所を変えることでもっと売れる」ということです。
 地方の中小企業はお金と売る力と人材が3大課題です。当社はお金は融資できませんが、売る力や人材の育成については、成果を導く手順、業績を上げる事例と経験を落とし込んで、マクロな視点とミクロな視点でお手伝いできると考えています。
 人材育成を担当するのは、当社事業部長の小澤慎一です。企業のマネジメントに携わり、売り上げの低い事業所の売り上げを回復させたり、離職が止まらない職場の離職を止めたマネジメント力の持ち主。私と両輪で地域の皆さんに貢献させていただきます。
 中小企業は広報とか広告の事業部を自社で持っていません。そこの一事業部員みたいな形で月に何度か社を訪問して、売れている商品などを洗い直し、どこに向けてプロモーションをかけていくかなどを検討していきます。
 一つの実例として、エステのお店。エステのお店ってたくさんありますよね。そこで、経営者と一緒に得意な部分、強みを洗い出し、それが分かるカバー写真に変えた。それだけで過去最高の契約数が出ました。
 社名の「イチヒャク」には、可能性が「1」あればそれを一緒に「100」にしていきましょうという思いを込めました。よく「ゼロイチ」とかいいますけれども、そもそもこの世の中にゼロはない。必ず誰かが必要としている、誰かが世に出したいと思っている。必ず「1」はあるのです。
―今後の事業展開は
 春になったら通りに面した自社の前で農産物を受託販売します。実績をつくり、都内のレストランなどでも販売してもらう。こだわりの新鮮野菜が買えて都会の消費者はうれしい、生産者は自分の商品が適正価格で販売できる、レストランはこだわりがPRできる、「三方良し」の構図です。
 白馬のキャンプ場のディレクターもやっているのですが、ここはもともとワサビ農園だった場所です。当時、ワサビを築地に持っていっても思うような価格で売れなかった。そこでワサビの収穫ができるキャンプ場に転換。まずはテストマーケティングをして対象を絞り、そこに発信したところ売り上げが大幅に上がりました。
 基本的な方向性としては、世の中がよくなることのお手伝いや貢献をしていきたいですね。SDGs(持続可能な開発目標)が昨今、言われていますが、カーボン・オフセット等を通じて自分たちもできることをやっていきたいと考えています。

【いちかわ・たけひこ】 41歳、池田町出身。国立長野高専(長野市)卒業後、製造業に就職したが、6年後、広告代理店に転職。企画営業やマーケティングに携わる。昨年12月、イチヒャクを創業。社長に就任。            

株式会社 イチヒャク 松本市中央4-5-38中沢ビル1F☎0263‐31‐5922