【像えとせとら】大桑小学校 希望・大桑村野尻

幼い少女に手を差し伸べたのは

「疲れた。もう歩けないよ」「急がないと学校に遅刻するよ。さあ早く立って。走ろ!」
そんな会話が聞こえてきそうな、昇降口の前にある2体1対の少女像。小さな肩を丸め、物憂げな表情で座り込む幼げな1体に、しっかりした顔つきのもう1体が手を差し伸べている。姉妹かしら?
2体は2003年、大桑、野尻、須原の3校を統合して現在の大桑小学校が開校したのを記念し、南木曽町出身の彫刻家で現在は崇城大(熊本県)芸術学部教授の勝野眞言(まこと)さん(66)に依頼して制作された。
テーマは同校の校訓「希望」。座っている少女は1年生で、振り返って手を伸ばしているのは、6年生に成長した少女。「悩み始めた幼い自分を引っ張り、希望に向かって旅立つ姿」(勝野さん)という。
校訓を設けた初代校長の栩秋(とちあき)洋平さんは、退任するまでの2年間、卒業生全員にこの像の版画を自作して贈り、開校10周年記念誌には「希望は人間の可能性や人間を信じることを生む」と寄せた。「コロナ禍で混迷する今、その言葉の大切さを見直したい」と、今春着任した山田文広校長(54)。
2体は細長い台座の、真ん中よりやや左に置かれている。右に続くのが「希望」への道?校庭に響く児童の笑い声に誘われ、立ち上がって歩きだす少女の姿が目に浮かんだ。