【小林千寿・碁縁旅人】#4 スイス・ローザンヌ

スイス、レマン湖畔の「ゲーム美術館」に展示されている手製の碁盤とカラフルな碁石、フランス語版の「ヒカルの碁」

マインド・スポーツ

このコロナ禍でオリンピックがあるのかないのか、決まらなく、出場予定の選手たち、関係者は、さぞ、ヤキモキしていると思います。国内はもちろん、世界中が注目してます。
さてオリンピックの総元「IOC」(インターナショナル・オリンピック・コミッティー=国際オリンピック委員会)はスイスのボー州レマン湖の北岸、ジュネーブから湖沿いに50キロのローザンヌにあります。そこには柔道、スケート、野球などの国際連盟本部もあり、スポーツ界の大事な拠点です。
私がジュネーブに住んでいた2004~07年にローザンヌで囲碁会、日本マンガイベントなどが開催されたので何回も訪れました。
ところで国内ではあまり知られていませんが、08年北京オリンピック後に北京で大々的に第1回ワールド・マインド・スポーツ・ゲームズ(WMSG)という大会がチェス、チェッカー、ブリッジ、囲碁の4種目の競技で開催されました。
日本では囲碁は文化・芸術・娯楽に扱われますが、共産国ではマインド・スポーツとして扱われ、近年は世界中で「頭脳スポーツ」、すなわち「体の一部である脳を使う」スポーツと考え、その方が補助予算を取れる国も多いようです。
当然、2020年オリンピックの年に、世界に碁を広めた日本は国際的な囲碁イベントを計画しました。しかし、日本で盛んなマインド・スポーツは囲碁と将棋だけです。それでは成立しないのがWMSGで、苦戦していました。
結果的には2020オリンピックが延期になり、今年もギリギリまで本体のオリンピック開催が分からない現在の状況では国際マインド・スポーツ大会も無理だったでしょう。
お知らせですが、27日発売の週刊新潮の『私の週間食卓日記』が、私の松本滞在記になりました。それを読んで松本に行きたいと思ってくれる人が増えれば嬉(うれ)しいです。(日本棋院・棋士六段、松本市出身)