松本市街地からいつも眺められる日本百名山「美ケ原」。涼や絶景を求めてドライブで訪れる人が多いが、同市入山辺からのトレイルも充実し、整備されたルートは山歩きの初心者にもうってつけだ。夏山シーズン前のトレーニングも兼ねて、初めて友人と歩いた。
難所なくファミリーにもお薦め
「美ケ原」は標高2000メートルに広がる高原台地で、約200種類の高山植物が自生。市内の小学校5年生が登山を体験する山として、市民にはなじみが深い。
市内の自宅から車で30分強と、思い立ったらすぐ行けるアクセスの良さも二重丸。午前7時半、「三城いこいの広場」駐車場には、すでに5、6台の車が。8時、三城から「百曲がりコース」を上る。咲き始めのレンゲツツジが見送ってくれた。
しばらくは樹林帯で、足元は軟らかい土。とても歩きやすい。沢のせせらぎと一面の緑の癒やし効果か、9カ月ぶりの歩行の足取りも軽い。40分で、あずまやがある「広小場」へ。ジグザグに高度を上げ、ササとシラカバの林を上る。
途中、擦れ違った登山者と話に花を咲かせたりし、ゆっくり2時間弱で約570メートル上がり、「塩くれ場」へ。視界が一気に開け、起伏のある緑のじゅうたんでは、放牧が始まったばかりの牛たちがうれしそうに草をはむ。青く広い空に、県内の山々はすべてといっていいほど、遠くは富士山も望める360度の眺めに圧倒される。車で上がってきた時には味わえない充実感だ。
最高地点の王ケ頭(2034メートル)までは砂利道を歩き、持参したおやつとコーヒーで休憩タイム。「王ケ頭ホテル」でも、ランチや軽食などが楽しめる。子どもへの土産にしばし迷い、星形のケースに入ったこんぺいとうを買った。
王ケ頭から、松本の街並みが一望できる岩場「王ケ鼻」までは20分。帰路は王ケ頭横から三城へ下る「ダテ河原コース」を選択した。下りが苦手な私だが、鮮やかな黄のキジムシロ、樹林帯のタチツボスミレなど、季節の花々にも励まされ、1時間半で下山した。
往復約4時間、約7キロのコースは難所がなく、ファミリー登山にもお薦め。他に、石切場からの「八丁ダルミコース」「木舟コース」、茶臼山(2006メートル)を経由するコースなどバリエーションも豊富。帰りに扉温泉の日帰り湯で疲れを癒やすのもよさそうだ。