【野遊びのススメ】#12 Eバイク借りて里山登り

風を感じ景色を満喫

最近、耳にするようになった電動アシスト付きスポーツ用自転車「Eバイク」。ちょっとした山なら登ることもできるという。電動アシスト付きというと、大きなバッテリーを積んだ「ママチャリ」しか乗ったことがなく、その経験だと山登りはちょっと無理。恐る恐る挑戦してみた。
安曇野市豊科南穂高の専門レンタル店「HUB Cycling Azumino(ハブ・サイクリング・アヅミノ)」でEバイクを借りる。同店はシドニー五輪MTB(マウンテンバイク)日本代表の鈴木雷太さん(49、松本市)が代表を務める、一般社団法人「ライド長野」が運営。鈴木さんに伴走をお願いした。
記者が借りたEバイクは、ロードとMTBの中間のクロスバイク。一見、アシスト付きには見えないスマートなデザインだ。鈴木さんにモーター出力の調節法やギアの使い方などを教わり、いざスタート。同市明科の長峰山山頂(933メートル)を目指す。標高差は約400メートルだ。
モーターの出力を最小の「エコ」にしてペダルを一こぎ。思ったほどの驚きはないが、自転車は平地をすいすいと進む。北アルプスは雲に隠れていたが、黄金色の田んぼ、ワサビ田など安曇野の風景が美しく、何より万水(よろずい)川から吹き上げるひんやりとした風が、気持ちいい。「風を感じられるのも自転車の醍醐味( だいごみ)の一つ」という鈴木さんの言葉にうなずく。

急坂楽々 壮快さと達成感

「景色を満喫できるのは、足への負荷が少ない証拠か…」などと思いながら、この日最大の難所の林道登りに差しかかる。山頂につながる林道長峰線は全長6・7キロ。追い越す車がうなりを上げて登っていく急勾配だ。
モーターの出力を最大の「ターボ」にすると、推力が激変した。進む、進む。急坂を登っている感覚がなくなるほど、前に進む。立ちこぎなど全く必要ない。息も乱れない。この驚きを鈴木さんに伝えると「これがEバイクの真骨頂」とニヤリ。
あっという間に山頂に到着した。約15キロの道のりにかかった時間は1時間半ほど。里山とはいえ、山頂で自転車と一緒に立っている自分が信じられなかった。「この壮快さと、達成感を多くの人に知ってもらいたい」と鈴木さん。記者もまったく同感だ。

【Eバイクのレンタル】ハブ・サイクリング・アヅミノの料金は、1日(午前9時~午後4時)がクロスバイク8000円、MTBとロードバイク1万円。半日(3時間=各5000円、7000円)もあり、ガイド付きツアーも実施。営業日(原則土、日曜と祝日)の確認や申し込みはウェブサイトから。
中信地区ではほかに、松本市安曇の乗鞍観光センターで貸し出している(10月末まで)。