【小林千寿・碁縁旅人】#19 冒険の旅①

カイロのギザのピラミッドとスフィンクス(1976年)

憧れのエジプト・カイロ1976年

1974年から2020年まで多くの国々を訪ねましたが、「冒険」と言えるのは、「エジプト」での1週間でしょうか。
「エジプト文化」に強い興味を持った、そもそもの始まりは「詰碁」の勉強を始めた5歳の頃。「詰碁を解けないとエジプトのスフィンクスに食べられるぞ!」という父の作り話からです。
1973年に日本テレビ主催の女流棋戦(着物着用)ができ、その時のディレクターが碁も強い青木昭氏(イタリアのシスティーナ修復ドキュンメント制作、書籍刊行)が今や超有名な吉村作治氏と旧知で、その伝(つて)で私は1976年にパリの囲碁指導を終えて当時の南回り便でカイロに降り、待望のエジプトへ入国。
吉村氏のご友人の案内で昼にギザのピラミット、念願のスフィンクスを観(み)て、夜は「スフィンクスのショー」(スパイ映画「007」シリーズの「私を愛したスパイ」にも登場)。ライトアップされたスフィンクスが「何千年も人間を見てきたぞ!」というせりふから始まるドラマチックなものです。
その後に砂漠のテントでの「ベリーダンスショー」。豊満なアラブの女性のダンスは迫力があったのですが、強い視線を感じて見渡せば外国の男性観客ばかり。その中で東洋女性は異質で、自分が見られていることに気付きドキッとしました。
その翌日はサッカラの砂漠を毛布だけのせたアラブ種の馬に乗り、夕陽に向かって手綱とたてがみを掴(つか)んで走って…。スピードはありませんでしたが、最高の気分でした。
一人で街中を歩けばクラクションが鳴り続け、バスには鈴なりに人が乗り、観光地では物売りが多く幼い少年ですら拙い英語で「あなたは美しいからオマケするよ!」などとお土産を売ってくる異国情緒たっぷりの楽しいひとときでした。
まだいろいろありましたが、その辺までは想定内の冒険。そこからルクソールに飛んでからが本当の冒険になりました。この続きは次回に。
(日本棋院・棋士六段、松本市出身)