【眺めてみれば】#13 縄文復元住居と江戸一里塚(塩尻市)

異なる時代が重なる風景

平出遺跡公園で縄文時代の復元住居を眺めて回っていると、背景に大きな一本松が重なるポイントがある。近くの旧中山道沿いに残る江戸初期の一里塚だ。5000年前と400年前の歴史世界が一つの視界に収まる。
縄文、古墳、平安3時代の遺跡が発掘された場所に造られた同公園。住居は、跡が見つかった場所に建てられた。「『直上復元』といって、位置や規模が大昔そのままです」と市立平出博物館の小松学館長(54)。
一方の一里塚。松は代替わりしたが、場所はこちらも江戸時代のまま。写真右手にも民家を背景に小ぶりな松がある。「街道の両脇に塚が残った。珍しい」と小松さん。現代の発掘調査で、近くに縄文時代がよみがえった。
二つの史跡の間には現役のブドウ畑が広がり、時季には甘い香りで存在感を放つ。希有(けう)な時空がますますねじれて見えてくる。