【眺めてみれば】#43 慈眼山清水寺(山形村)

荘厳な雰囲気見どころ多く

標高約1300メートルの清水高原に位置する山寺。真言密教の祈願寺で檀家(だんか)がなく、何度も荒廃にさらされてきたが、村民らの手で守られ、近年も保存会が維持管理する。
伝承によると、天平元(729)年に僧の行基(ぎょうき)が千手観音菩薩(ぼさつ)像を彫り創建。時の征夷大将軍、坂上田村麻呂が戦勝祈願して大成功を収め、霊験あらたかと、この像を京都東山に移し、清水寺を建立したという。
全国に数少ない清水様式の菩薩像(毎年八十八夜に御開帳)を安置する本堂、石造りの仁王像や山門への参道に並ぶ百体観音など見どころも多い。静寂に包まれた一帯は荘厳な雰囲気が漂う。
12年前から住み込みで寺を管理する倉畑道久さん(74)は「初夏のヒメシャガなどの山野草、松本平が一面雲海になる様子なども素晴らしい」。大みそか、除夜の鐘で今年の仕事を締めくくる。