【ビジネスの明日】#42 焼鳥社長 河内洋平さん

本物の味」で店舗拡大へ

「これから約10年かけ、県内外に100店舗は展開したい」。こう語るのは焼き鳥店の「炭火焼鳥河内屋」などを運営する焼鳥(松本市白板)社長の河内洋平さん(36)だ。縁もゆかりもない松本で創業して約8年。現在展開する市内4店舗は予約が取りづらいなど、人気店になっている。
焼き鳥の味へのこだわりは、「こだわらないのが、こだわりです」。サラリーマンが毎日でも店を訪れ、酒の「つまみ」として食べられる焼き鳥が理想という。
「全国にさまざまある『地鶏』にこだわっていたら、価格的に毎日食べられる焼き鳥として提供できない。その代わり、その日に処理した新鮮な鶏を備長炭で丁寧に焼く。それだけです」と自負を見せる。
またできる限り、使用する食材の数を絞り、冷凍食品を使わないようにしているのもこだわりだ。
2014年、深志1に1号店を創業。当時、20代前半のお客が多く、「冷凍などしていない本物の焼き鳥の味を、うちの店で知ってくれたのが今につながっているのでは」と振り返る。

小学6年から本格的に相撲に取り組み、高校は明治大付属中野高校(東京都)に進み、相撲部に所属。後の大関・豪栄道や栃煌山らと同期で、全国総体などで顔を合わせた。
明治大まで競技を続け、卒業後は、都内や千葉県で店舗展開する焼き鳥のチェーン店に就職。1年半後に外資系のたばこメーカーに転職。2011年に安曇野市に配属され、松本市に住居を構えた。
焼き鳥店で働いていた頃から自分の店を持つと決めていた河内さん。サラリーマンをやって資金をため、14年に創業店を出店。口コミで人気が出始めたのと同時に、時代はコロナ禍へ突入した。
しかし駅前の物件が、好条件で出回るようになったのを好機と捉え、「電車とタクシーが使え、人が集まるという自分にとっての焼き鳥店の立地の絶対条件」という中央1に店舗を集中的に増やした。来年には同じ中央1にさらに2店舗出店する予定という。
将来的には、現在の炭火焼き鳥を商品の中心にした個性の違う店舗で経営のノウハウを蓄積。それぞれをニーズに合ったパッケージにしてFC(フランチャイズ)展開を狙っている。
「福井県では『秋吉に行く』は焼き鳥を食べに行くとイコール。松本で『河内屋に行く』をそれと同じレベルにしたい」と強気だ。

【プロフィル】
かわうち・ようへい 1986年、愛知県岡崎市出身。明治大政経学部卒。焼き鳥チェーン店、外資系たばこメーカー勤務後、2014年、河内屋創業。17年焼鳥を設立し社長就任。松本市白板在住。