よそ見する1体 視線の先は
秋には境内にある大イチョウが見事な黄色に染まる長福寺。本堂に向かって進むと、赤い帽子をかぶった高さ40センチほどのかわいらしい6体の地蔵が迎えてくれる。よく見ると、向かって左から3番目の地蔵だけよそ見をしている。目線の先にあるのは西に位置する雄大な北アルプスだ。
住職の竹村信彦(しんげん)さん(35)によると、極楽浄土は西方のかなたにあり、太陽が真西に沈む春分の日と秋分の日は、夕日が極楽浄土への道しるべとなるという。
なぜ一体だけ違う方向を向いているか尋ねると、正確な理由は分からないとした上で「地蔵は亡くなった人たちが安らかに極楽浄土に行けるよう見守る存在。西へ旅立つ人を見守っているのかもしれません」。
あるいは「北アや田園風景見たさに一体だけ顔を向けている、という石工職人の遊び心かもしれない」とも推測した。