「ペットを飼いたい!」子どもにせがまれたら

「ペットを飼いたい」と子どもにせがまれて悩む…そんなママパパもいると思います。子どもとペットが幸せに暮らしていけるヒントを、飼い主の自宅に訪問してペットの世話などをする「ペトロア」代表の三原千尋さん(39、松本市島立)に聞きました。

「家族」の自覚と責任を

★飼う前に
「ペットを飼いたい!」となったときに大切なのは、「何を飼うか」です。
▽散歩は必要か。運動量はどのくらいか▽留守番はさせられるか▽病気を診てくれる病院は近いか▽掃除の頻度▽臭いや鳴き声、ほえ方▽寿命▽室内に人間とペットにとって快適な空間を用意できるか─などを家族で何度も話し合い、無理なく世話ができるペットを選びましょう。決めた後は「家族が1人増えるんだ」という自覚と責任を持ってください。
子猫や子犬は本当にかわいいですが、幼児期の育て方で性格が決まるので大変な場合もあります。一方、大人の犬猫は性格が出来上がっているので、どんなタイプか分かった上で迎えられます。
手に入れる場所はペットショップやブリーダーのほか、保護犬や保護猫という選択もあります。保護団体の譲渡条件はさまざまなので、ウェブサイトやSNSなどで譲渡会の情報を得てください。
★世話はできる範囲で
飼う時に子どもは「絶対に毎日お世話する!」と宣言することが多いですが、話半分に聞いた方がいいです。散歩、掃除、餌やりなど、やりたいことをできる範囲でやってもらえば大丈夫くらいに思ってください。
そもそも動物は子どもの高い大きな声や、予測できない急な動きが苦手。そのような場面に遭うと興奮する場合もあります。距離を縮めるには手順があり、犬ならグーにした手を、猫なら1本の指を鼻の前にゆっくり出して、においをかがせるのが初対面のあいさつの基本です。
うまくいかない場合もありますが、知っておくことでよその家のペットを驚かせてかまれたり、引っかかれたりといった事故を減らせます。子どもには丁寧に教えてあげてください。
準備万端で迎えても、飼い始めると思いもよらないトラブルはつきものです。ほえ声、かみ癖、トイレのしつけ、爪とぎ、ご飯の好み、嘔吐(おうと)…かかりつけの獣医など相談できる所があるといいですね。
また、病気が見つかると治療には高額な医療費がかかる場合が多いです。避妊手術やワクチン、寄生虫予防などの「予防医療」は後回しにしがちですが、長く元気に暮らしていくために目を向けてほしいです。
★いつか来る別れ
いつかはペットとの別れが来ます。それを乗り越えるために、獣医師の阿部美奈子さんの著書「猫と私の交換日記」(二見書房)をお薦めします。犬版もあります。50の質問に答えを書き込み、それを読み返すことで、かけがえのない思い出をいつでも振り返れます。
弱ったり小さくなったり苦しんだりと最期が切ない状況になったとしても、それは一生のごく一部です。家族の一員として元気いっぱい、幸せに生きていた時間の方が長かったはず。日記はそれを思い出させてくれます。
ペットを迎えると生活は一変し、思い通りにいかないこともたくさん起きます。試行錯誤も楽しみながら、唯一の出合いを大切にしてください。

【ペトロア】給餌、散歩、トイレ清掃などの訪問シッターサービスのほか、介護・看護シッター、動物病院の代行受診、サロンへの送迎等も。ペットと暮らす上での悩み相談、ペットの防災、グリーフケアにも力を入れる。ウェブサイト=こちら。TEL080・1035・6978