定年後移住 安曇野で雑貨店開く秋田さん夫妻

「生きがいは健康的な生活につながる」。こう語るのは、安曇野市穂高有明の「木雑貨凛(りん)」を営む秋田真人さん(66)、静江さん(65)夫妻。同店開店から約半年。地域の人たちの交流の場となり、21日には初のミニコンサートを開く。夫妻の人生を豊かにしてくれる場所でもある。
木立に囲まれた自然豊かな自宅敷地内の小さな雑貨店。建物は2棟。ログキットを組み立てたログハウスに取り付けられたウッドデッキからは、100種類以上の草花を眺めることができ、季節の移ろいを感じさせてくれる。
もう一つの木造小屋は、真人さんが基礎から造り上げた「完全自作」。室内には古材などを用いて手作りした木製の雑貨が並ぶ。椅子や机、ポストなど、遊び心のある雑貨やガーデン用の雑貨など種類はさまざまで、オーダーメードにも応じる。周囲の自然や木材とのなじみがよいという陶器も販売している。
二人は、愛知県で小学校の教諭として働いていた。夏は登山やロードバイク、冬はスキーやスノーボードを楽しむためによく訪れていた安曇野市を気に入り、60歳の定年退職を機に移住。移住後も同市内の小学校で働きながら趣味を楽しんできた。
直人さんは、物作りが好きで、自宅のリノベーションをしたり、雑貨を手作りしたり。「物を作っているときが一番体調が良い」といい、友人にプレゼントした「花額」を「喜んでもらえたことがうれしかった」と笑顔を見せる。
一方、陶器などの器が好きな静江さんは、「森の中でカフェを開くことが夢だった」。
二人は「自分たちの好きなことを生かしたい」と、昨年から開店の準備を始めた。
店長には、店名にもした愛猫の「凛」が就き、副店長はもう1匹の「雫(しずく)」が務める。
開店から約半年。今では静江さんがサービスで提供するコーヒーを飲みながら自然を眺める人、お気に入りの雑貨を探しに来る人、店長、副店長のファンで会いに来る人など、さまざまな理由で多くの人が訪れる。また、地元の常連客が増えると同時に、地域とのつながりも増え、この場所がそうした客同士をつなぐ場所にもなっている。そこから生まれた交流をきっかけに21日、初のミニコンサートの開催が決定。同市を中心に演奏活動をするグループが出演する(無料。事前連絡必要)。
「以前は自分の子どもたちから元気をもらっていたが、今はお客さんからもらってます。生きていく楽しみ」と、喜ぶ静江さん。真人さんは「好きなことができるのは自分の心の健康にもつながる。それでお客さんが喜んでくれたら、もっとうれしい」。二人の満ち足りた表情が目に浮かぶ。
営業は午前10時~午後5時。火、水、木曜定休。