思いを込め制作実演 林人形工房に伝統工芸士・石川さん

松本市中央2の林人形工房で1月27、28日、伝統工芸士の石川潤平さん(72、さいたま市)による「江戸木目込(きめこみ)人形」の制作実演があった。
実演では、初節句に贈られる人形の羽織に、胡粉(ごふん)をにかわで練ったもので、繊細な筆遣いで子どもの名前を入れた。人形購入の予約者は、名前の部分に石川さんの教えで金箔(きんぱく)を貼り付ける作業を体験した。
石川さんの手がける人形は、ふっくらとした愛らしい姿。柔らかい印象の目元は細い筆で50本余の線を重ねて表現し、見る角度によって表情を変える。そんな人形の魅力も紹介した。
石川さんの人形にほれ込んだ同店の林真代表が、30年ほど前から店頭に商品として並べている。「作り手のこだわりを伝え、思いを受け取ってもらいたい」(林代表)と、毎年ひな祭りや端午の節句に合わせて実演を行っている。
娘のふたばちゃん(8カ月)の初節句に合わせて来店し、金箔貼り付けを体験した神戸葉月さん(安曇野市)は「貴重な体験ができてよかった。人形をずっと大切にしたい」と話していた。石川さんは「人形は子どもと一緒に育っていく。お子さんと共にかわいがってもらえたら」と話した。