独自のメソッドで「声の悩み」を解決

ヴォイスコンサルタントの林さん 「声のデザイン」刊行

話したり、歌ったりと、普段何げなく出している声だが、うまく発声できない、話す声が震える─など、悩みを抱える人もいる。そんな人の助けになればと活動するのが、ヴォイスコンサルタントの林重光さん(45、松本市筑摩)だ。1月末には著書「声のデザイン」も発行した。「一瞬で相手を惹(ひ)きつける最強のプレゼンスキル」が副題だ。
歌を歌っていた15歳の頃、「カセットに録音した声が、自分の思っていた声と全然違う」などとコンプレックスを持ったことが、声に興味を抱くきっかけとなった。
抽象的な説明でなく、誰でも同じように理解できるメソッドを─。呼吸、発声、さらに古武術を学び、会得した独自の方法を伝える1冊という。

声を磨き伝える楽しさを

伝えたいことを伝わるように伝えるための、「声と言葉のブランディング」を行うヴォイスコンサルタント、MAKEUPVOICEの林重光代表。「手の形で呼吸、声が変わります。話す時、緊張する人にお勧めです」。具体的に話をしてもらうと、「手をグーに握ると、胸式呼吸になり、小指と薬指だけを折ると腹式呼吸になる」。
試してみると、不思議と呼吸が変わる。「緊張して声が震える人は上半身に力が入っている。上半身の力が抜ければ、声が出しやすくなります」
声に興味を持ったのは15歳の時。普段聞いていた自分の歌声と、カセットに録音し再生した歌声が全く違うことに衝撃を受けた。「声が良くない。声をなんとかしよう」。緊張すると声が震えることもあり、「話す、読む、歌うは声が出ないと表現にならない」と感じたという。
大阪芸術大芸術学部芸術計画学科で勉強。3、4年生で音楽を専攻、ボイストレーナーについて声楽を勉強した。指導者の教え方が抽象的で、「10人いたら、10人が違う解釈をする」と痛感した。
卒業後、声帯学の第一人者から体の使い方で声が変わることを教えてもらった。古武術で、重い物を軽く感じるなど、日常生活が楽になる体の使い方を学んだ。これらの学びをベースに、20年間の発声身体技法研究から独自のメソッド「身体操作と思考操作の組み合わせでパフォーマンスを安定させる技法」を開発した。
最近、声に関するセミナーの依頼が増えたという。林さんは「コロナ禍でマスク着用が普通になり、オンラインでの打ち合わせが一般化する中、表情の変化など視覚情報が減り、声にその不安を取り除く鍵があると考えたのではないか」と分析。著書「声のデザイン」の出版にもつながったという。
著書は4章構成。「自分の声の特徴を知る」の他、心技体それぞれに着目し、声の操り方、理想の声を手に入れる体の整え方などを紹介している。「悩みを取り除くことで、ビジネスのスキルアップにもつながる」
あまり気にしたことはない声だが、自信が持てれば気持ちも変わりそうだ。林さんは「言葉を届けるには、声を磨かないと伝わらない。声を出すことを公私で楽しんでもらえたら」と力を込める。
「声のデザイン」は四六判192ページ、1980円、平安堂書店などで扱う。ジー・ビー(東京都、℡03・3221・8013)刊。
出版を記念し、オンラインの無料コンサルティングを実施。悩みを取り除き、自分の声で悩んでいる(声変わりがスムーズにいかないなど)学生・生徒5人を募集する。問い合わせはメール(makeupvoice15@gmail.com)で。