【ガンズリポート】試合運営ボランティアを“お試し” 「体験バモス」に参加

来場者と触れ合い 分別回収を担当

松本山雅FCのホーム試合の運営を手伝うボランティア組織「チームバモス」が、その活動を“お試し”できる「体験バモス」を行っている。サンプロアルウィンで欠かせない役割を担っているボランティア。5月3日のヴァンラーレ八戸戦で体験した。
集合は午前9時、キックオフの5時間前だ。早速もう1人の体験者と説明を受けた。「来場者や同僚に『また来たい』と思わせる雰囲気づくり」という心構えを肝に銘じる。
続く全体ミーティング。バモスのメンバーとクラブのスタッフがメインスタンドに集まり、同じ運営マニュアルを手に、小澤修一社長らクラブ幹部、バモスのリーダーたちと役割を確認する。「バモスとクラブは一体なんだ」と感じる。
いよいよ担当に分かれて活動開始。体験者は、ごみの分別回収「Yell(エール)事業」に配置され、来場者を迎える入場口の応援にも入る。まずは回収ブースの設営から。「バディ」と呼ばれるベテランのバモスが指導してくれる。
体験者はなぜエールの担当なのか。尋ねると、来場者と触れ合う機会が多いからという。「ここで楽しくできれば、どこでもやれる。工夫次第です」とバディの田中文明さん(68、松本市)。
分別は、燃えるごみとペットボトル、リユースカップの三つ。ペットはさらにキャップとラベルを別にする。観客の多くは勝手知ったるものだが、知らない人もいる。
一番多いのは、ラベルが付いたままのペットボトルを捨てようとするケース。声がけして剥いでもらうが、バモスの中にはそのまま受け取って自ら剥ぎ取り、「次からお願いします」と伝える人も。荷物で手がふさがっている来場者には、積極的に手を差し出す。
活動中の試合の動きは、場内に響く歓声やアナウンスでしか分からない。高校2年生のバモス・若林咲愛さん(16、茅野市)は、チャント(応援歌)を口ずさんでいた。中学生まではゴール裏で応援していたが「試合のことは家族から聞く。こっちの方が他の人の役に立てる」と、ほとんどの試合でバモスに参加しているという。

試合が終盤になると、終了後に備えて他の担当から応援が来る。そして1ー2でタイムアップ。スタンドから観客がどっと出てくる。エール活動のピークだ。
記者はごみ袋の口を大きく広げ、燃えるごみを入れてもらい、「ありがとうございました」と連呼した。家路を急ぐ中、来場者のほとんどは分別に協力してくれた。ブースの前でペットボトルのラベルを剥ぐ人がいても、整然と待っている。
こちらの「ありがとうございます」に「お疲れさまです」と返してくれるサポーターも多い。互いへのリスペクトを感じる瞬間だった。
バモスの丸山亨代表(46、安曇野市)は「お客さんにありがとうと言ってもらえたり、自分たちで運営がうまくいったと思えたりという評価軸がある。負けたらつまらないということがないのが、われわれの活動」と魅力を話す。
撤収作業を終えて終礼。選手を乗せてサンアルを出るチームバスを、大勢のバモスが旗を振りながら笑顔で見送った。
体験バモスの申し込みは、山雅後援会のウェブサイトから。