
松本山雅FCの元トレーナーが施術する治療院「松本コンディショニングセンター」が、喫茶山雅(松本市大手4)で試験的な営業を始めた。トップチームのチーフトレーナーから転じた井上浩司さん(51)は、以前から一般の人の健康増進にも技術を生かしたいと考えていたという。
神奈川県出身の井上さんは、夢がプロのトレーナーだった。大分トリニータの育成組織スタッフとして5年働いた後の2011年末、J2初昇格を決めた山雅のトレーナー募集を知って応募した。
音沙汰がなく諦めかけた年明け、山雅から電話があった。「すぐ来てほしい」。戸惑ったが、「J初参戦のチームに加わることにわくわくした」。大分から車で松本に駆けつけた。
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以来、育成組織での2年を含め、ずっと山雅の選手をみてきた。21年にはトップチームのチーフトレーナーに。サッカー選手の体をケアする方法論は、すっかり身に付いた。
一方で、日常業務に物足りなさも感じていた。仕事では特に選手のリハビリテーションを担い、治すことに満足感があったが、チーフになってその機会から離れたことにも、心残りがあった。
そんな思いを募らせていた昨年、新たな収益事業を探るクラブから、一般向け治療院の構想を持ちかけられた。実は自身も山雅に来て間もない頃から、体調を整える知見を選手以外にも役立てる機会があればいいと、クラブ幹部に話していた。
試しに、クラブと縁があった整体施設「スポーツフィジカル」(本店・塩尻市)の施術法を聞いて驚いた。同施設の平松勘司代表が編み出した手技は、「骨のずれ」を直すという。基本的に筋肉を治療するトレーナーたちの、常識にない発想だった。
育成組織のトレーナーだった本山貴一さん(32)とこの手技を体験し、顔を見合わせた。「骨って動かないよな」「でも痛みがなくなってる」「不思議だ」。眠れないという井上さん自身の悩みもほぼ解消した。
50歳を過ぎ、トレーナー人生の今後を見据え、「他に替えが利かない技術を身に付けたい。学んだことを一般の人に還元できるのなら、トライするしかない」。わくわくする気持ちを久しぶりに覚え、転身を決めた。
本山さんと共に、昨年12月から平松さんの下で修業し、7月半ばから一般向けの治療を始めた。施術を受けた人からは「楽になった」と言われることもあれば、そうでない結果を聞かされることも。「体全体の動きを見て治せるようにしたい」と、平松式にトレーナーの経験を加味し、治療法を磨いている。
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現在は本格開業に向け、治療院の物件を探している。体の動きを改善する器具も置き、整体と運動の両面で療法を提供する複合施設になるという。
施術は45分間で4200円。ヴァンラーレ八戸戦が行われる30日午前9時~11時半、サンプロアルウィンの会議室で出張施術(30分3千円)を行う。いずれも予約は山雅の公式ホームページから。喫茶山雅℡0263・75・8050