【ガンズリポート】松本山雅FCレディース 記念すべき一歩

北信越女子リーグでAC信州大に初勝利

3月に設立された松本山雅FCレディースが、今月8日の北信越女子リーグでAC信州大学に6-0で勝ち、参戦11試合目で初勝利を挙げた。山雅の女子トップチームが、記念すべき一歩を記した。
この試合の前まで3分け7敗。4月の前回のAC信大戦を含め5試合で無得点と攻撃が振るわなかったが、この日は力を発揮した。
1得点を挙げた主将のFW倉石皆里(みさと)(19)は「うまくいかない時こそ、できることを積み重ねるのが、チームや個人の成長につながる」。
チームを運営するNPO法人松本山雅スポーツクラブは、子どもから大人まで女性がサッカーを楽しめる環境整備を掲げる。2019年に中学年代のU-15(15歳以下)をつくったのに続き、今年、ゆかりのある社会人や大学生に声をかけ、年代を広げた。
倉石はU-15の1期生。兵庫県の強豪、日ノ本学園高に進んだが、出場機会に恵まれなかった。松本大進学を機に競技の一線から退こうと考えていたところを、山雅に誘われた。
「迷ったが、もう一度サッカーに向き合いたいと思った。(プロの)WEリーグを目指すチームの歴史を、自分たちがつくれる魅力を感じた」と話す。
加入した社会人・大学生は9人。練習はU-15の35人と一緒に週2回。U-15はさらに1回練習し、選抜された選手が週末、トップチームのメンバーとして試合に臨んでいる。
指揮は昨季のU-15から引き続き、小林陽介監督(40)が執る。北信越リーグとJFL時代の山雅でプレーした元選手。今季はサポーターの応援の熱が違うといい、「選手のモチベーションになっている」という。
選手は仕事や学業があり、練習に全員がそろわないことも。苦戦は無理もないが、「トップという意味では、J3の男子と同じ。もっと応援されるように勝たせてあげたい」と小林監督。
他方、U-15の選手はトップチームでプレーすることで、地力を上げている。8日のAC信大戦では、3選手が計4得点を挙げた。
今季リーグ戦は8月までで、残り3試合。山雅スポーツクラブの柄澤深理事長は「女子サッカーの魅力をさらに発信し、社会人や大学生の仲間を増やしたい。それが、練習会場や指導体制など環境を良くすることにつながる」と将来を見据える。