「全てのお母さん安心して子育てできる地域に」 個人で託児請け負う安曇野の岩田繭さん

全てのお母さんが安心して子育てをできる地域になれば―。「わたげとまゆ」の屋号で託児を請け負う岩田繭さん(41、安曇野市穂高有明)は、自身も10歳、6歳、4歳の3人を育てる母親だ。独身の頃に安曇野市に住んでいた縁があり、結婚、出産後の約7年前に埼玉県から同市に家族で移住した。
2025年3月まで、市内こども園の保育士などをしていたが、同年9月に県に居宅訪問型認可外保育施設(ベビーシッター)の届け出が受理され、同市周辺のイベント会場や、利用者の自宅での託児を始めた。
長時間になったり、不規則な働き方になったりするベビーシッターを、個人で請け負うことは珍しい。個人だからできることとは。岩田さんの活動を見た。

事情に合わせ細かな対応実現

個人で託児を請け負う「わたげとまゆ」を旗揚げした、岩田繭さん。友人たちの口コミなどを通じて、利用は広がっている。夫婦共に夜間に仕事がある家で、午後10時の仕事終了まで子どもたちの見守りをするなど、それぞれの家の事情にできる限り対応するよう心がけている。
託児やベビーシッターというと堅いイメージだが、岩田さんの定義は〝子どもの見守り〟という位置づけだ。「オーダーメードのように、きめ細やかに子どもたちと関わりたかった」という夢を実現させつつある。

赤ちゃん抱っこ母親らの助けに

岩田さんは個人宅だけでなく、イベント会場内での託児も請け負っている。1月10日に安曇野市豊科で開かれたマルシェイベントでは、主催者から大人向けの講演会の託児を依頼された。知人にも声をかけ、0~10歳の子ども26人を、保育士3人とボランティア1人、子どものボランティア2人で見守った。
当日は託児とは別に、無償で「抱っこ隊」の活動も行った。腕章を着けたメンバーが、イベント会場で主に乳幼児を連れた母親らに「少しだけ赤ちゃんを抱っこしていましょうか?」と声をかける活動だ。
泣いている乳児を抱えて購入した物を受け取れない母親や、子どもを膝に載せて食事を食べさせた後、自分の食事を食べようとしている母親に声をかけ、手助けをした。
松本市からイベント会場にやって来た増田真理さん(34)は、1歳6カ月の菜月ちゃんを抱っこしてもらっている間、3歳の陽斗ちゃんとゆっくり昼食を食べられた。「子ども2人を連れてのイベントはちょっと無理かと思っていたけれど、温かいコーヒーも飲めて最高です」と笑顔を見せた。同じく松本市の宮坂彩香さん(38)も、1歳3カ月の長女を抱っこしてもらっている間に、自分の食事を取ることができた。「自分から抱っこをお願いするのは言いにくいけれど、声をかけてもらえてうれしかった」と喜んでいた。
岩田さんは「急に親と離されるのが不安な子もいるが、私たちを信じて預けてくれるお母さんがいるのがうれしい」と、さまざまな場面で抱っこ隊の需要があることを実感。「赤ちゃんを抱っこしている間に、お姉ちゃんお兄ちゃんとママが良い時間を過ごしてくれれば」と積極的に声をかけていた。
ほんの少しの時間かもしれないが、1杯のコーヒーを飲む間、上の子とトイレに行っている間―など、さまざまな場面で小さな子どもを持つ母親らの助け舟になれる。
抱っこ隊を含め、フリーのベビーシッターだからこそできる小回りの利く活動を、これからも続けていきたいと考えている。