彼女のかわいさ触れてみて
ざわざわと風で木々が揺れる、やまびこドーム西側に広がる森の中。幼い女の子の像が、ひっそりとたたずむ。なぜこんなところに?恐る恐る近づくと、おかっぱ頭でオーバーオールを着て、背丈は約70センチ。台座はなく、地面に直接立っている像は珍しい。
遠くをじっと見つめ、笑っているようには見えない。辺りを見回すと、ほかにも石像が点在し、その数13点。「りんごを持つ少女」「ぐるぐる石」「カメ」など像名が書いてあるものもあれば、ないものも。
信州スカイパークを管理するTOYBOX(トイボックス)に尋ねると、1993年に同公園で開いた「信州博覧会」の彫刻展に出品された石像が、そのまま残っているのだという。
開催時は「触れる彫刻」をうたい、さまざまな材質の石にいろいろな形や模様、人物などが刻まれた。目が不自由な人のために、専用のつえを持って歩くと、振動で各作品まで誘導するシステムも備わっていたらしい(現在は機能していない)。
女の子の名前は「童女H」。目を閉じて、その顔に触れてみてほしい。低い鼻にぷっくりとした頬、石とは思えない、柔らかな丸みを帯びたあごの曲線…。少し怖い見た目からは分からない、彼女のかわいさを知ることができる。