【像えとせとら】 アルピニスト像・松本市安曇

登山家でなく実は村の助役

北アルプスの玄関口、松本市安曇の入り口にある「村の駅アルプスの郷」に立ち、国道158号を通って、北アの山々や上高地へ向かう登山者や観光客を見守る。
像は高さ1メートル80センチの強化樹脂製。背後に立つ5本のステンレス製の三角柱は、北アの山々を表現している。住民や観光客の交流の場として1998年、旧安曇村が整備した「村の駅」完成を記念して建立された。
作者は、村と姉妹都市提携を結んでいた静岡県松崎町の彫刻家、平馬学さん。では、像のモデルは?今では知る人もなかなか見つからない中、当時村の助役だった木挽基之さん(85)に尋ねると「あれは俺だ」。登山愛好家ではなかったが、ニッカーボッカーなど古い服を持っていた木挽さんに、白羽の矢が立ったという。
当時の有馬佳明村長(故人)の号令もあり、役場に飾ってあった姉妹都市のスイス・グリンデルワルト村から贈られたピッケルを手に撮った写真が、平間さんに送られた。木挽さんはその写真を今でも持っていて、子どもや孫に見せることがあるという。
ピッケルは現在も市安曇支所に飾られている。村の幹部をモデルに名もなき登山者をかたどった像は、北アルプスや上高地を抱える小さな村の“誇り”だったのかも。同時に像は、村と姉妹都市との友情の証しでもあった。