【像えとせとら】溶けない雪だるま(松本市新村)

「憎めない表情」にほっこり

「のり弁」のような太い眉毛に真ん丸な目、ポカンと開いた口の周りには、まるで子どもが自分で化粧をして失敗したかのような口紅の跡。頭には毛が3本…ではなく、むき出しの鉄筋が3本。どこか間が抜けているが、憎めない表情にほっこりする。
発泡スチロール製のようにも見えるが、触ると硬い石像だ。交通量が多い、国道158号と県道が交わる新村交差点の脇にあるため、だいぶすすけている。元は白かったのだろうか?高さは2メートルを超える。
松本市街地から上高地方面へ向かう途中、運転中や信号待ちで「目が合った」という人も多いのでは?雪の日に初めて目にしたら、本物と見間違えそうだ。
像は、コンビニとラーメン店が使う駐車場の一角にある。コンビニで5年ほど働く女性店員は「ずっと気になっているが、なぜここにあるかは知らない」と苦笑い。「でも、何とも言えない表情がいい。なくてはならない、ここの主かな」
ぐるりと一周し、像の裏側にも同じ顔があるのを初めて知った。側面には「心はまるくいしはかたくにんたいつよく」と刻まれている。実は、雪だるまに扮ふんしたお地蔵様だったのかも?はっとして、これまでの失言をわびて手を合わせた。