【像えとせとら】信州スカイパーク ふれあい(松本市今井)

コロナ下の五輪像の呼び掛け響く

先日、読者から「自分がマレットゴルフをしている信州スカイパークに、銅像があるで。紹介してくれや」という電話があった。男性は「それだけせ」と言って切ってしまい、詳しいことは聞けなかったが、早速、同公園へと向かった。
体育館前の木立の中に、台座を含めて高さ3メートル近い、若い男女の裸体像がある。背中を向け合って立ち、手を前に差し伸べ、足を1歩踏み出している。刻印から松本市出身の彫刻家、久保田俶通(よしみち)さん(83)が1977年に制作したものと分かる。
翌年に同公園などで開催された「やまびこ国体」と、全国身体障害者スポーツ大会に合わせて設置されたらしい。台座に次の文が刻まれている。
「この森につどい技をきそい心ふれあった多くの若者よ(中略)いまこの像はよびかけるよろこびの日もかなしみの日もひとは信じあえとひとははげましあえとひとは美しい心をむすびあえと」
あと20日余りで開幕する東京五輪。コロナ下でも開催する意義を問われた日本の政治家は、建前しか口にせず、その言葉はふに落ちない。が、この像の呼び掛けは、今の私たちに訴えかけているようで、心に響く。
公園にはほかにも像があり、男性が取り上げるように言ったのが、この像だったかは分からない。しかし、きっとそうだと、記者は思う。出会わせてもらったことに感謝。