【野遊びのススメ】#22 冬山の誘い・筑北の2峰仲間と巡る

景色楽しみながらゆっくり

ここ数年、仕事と趣味を兼ねて登山にはまった記者だが、冬山は登ったことがない。一緒に登る仲間は「夏も良いが、景色は冬のほうが好き」と言う。これまで登った2000メートル級の山に挑むのは勇気がいるので、まずは1000メートル前後の里山で冬山を知ろうと、1月中~下旬に筑北地域の名山2峰を仲間と訪れた。

筑北村と麻績村にまたがる「四阿屋(あずまや)山」(1387メートル)と、生坂村の「京ケ倉(きょうがくら)」(990メートル)に、それぞれ別の日に登った。どちらも景色を楽しみながらゆっくり歩き、登り1時間~1時間半、下り45分~1時間。朝から登れば、昼前には下りてこられる。
両山とも登山道は雪が積もったり、凍ったりしていたため、登り始めから記者は登山靴に6本爪の軽アイゼンを付け、友人はチェーンスパイクを装着した。歩き始めて20分ほどで体はポカポカに。樹林帯では寒さをほとんど感じず、おしゃべりを楽しみながら登ることができた。
京ケ倉は起伏に富み、両側が切り立った「馬の背」と呼ばれる岩場もある。そこから眺めた真っ白な北アルプスと、美しい青空のコントラストは絶景だった。
四阿屋山は、靴が埋まるほど雪深い箇所もあり、運動不足の記者は歩くのに必死だった。山頂手前の展望台から見えるはずの北アルプスは雲がかかり、雄大な山並みは見られなかったので、また訪れたい。
空気が澄んだ冬は、さらに遠くの山々も美しく見える。登山者も少なく、静まり返った空間を独り占めしているかのよう。熱い湯を持参し、山頂で入れたコーヒーもおいしかった。身近な里山でも、冬山の魅力の一端を十分に知ることができた。

【冬の里山登山の装備】
アウトドア用品販売「A&Fカントリー松本店」(松本市中央2)スタッフで、北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会の藤田剛央さん(38)は、「1000メートル前後の里山でも、滑り止めの軽アイゼンやチェーンスパイクは必要」とする。また、歩いて体が温まっても、尾根道や稜線(りょうせん)上は風が冷たいため、フリースの上から風よけのレインウエアを着たり、休憩中は体を冷やさないようにインナーダウンを着たりすることを勧める。