【記者兼農家のUターンto農】#57 販売促進

「松本産」推し、県外展開中

ある朝、農協の集荷場で張り紙に気づいた。タイトルは「野菜消費宣伝情報」。東海や関西に展開するスーパーで、松本ハイランド農協の笹賀、塩尻、朝日の3地区が合同で販売促進キャンペーンをするという。
普段、この掲示板で目にするのは、ほかの産地や栽培についての情報で、販売は珍しい。詳しいことを聞こうと、農協を訪ねた。
「6月から始まったばかりです」。販売担当者は、愛知県内のスーパーで撮った写真を見せてくれた。
売り場の一角にリーフレタスが積まれ、脇に立つのぼりに「JA松本ハイランドフェア」とある。「国内産、長野県産とうたうのが普通で、JA名を出すことはあまりない」という。
そうなんだ。では、今回はどうして?「人と人とのつながりで」と、詳しくは話してもらえなかったが、つまりは営業がうまくいったらしい。
フェアは昨年が最初だった。試みたスーパーの仕入れ担当者がいい手応えを得て、今年も行うことに。しかも、実施店舗は8から28に増えた。
今年は包装フィルムに貼るシールも作った。松本城が目立つデザインで、JA名がきっちり入る。切手調にしたのは、「信州松本からのお届け物」というイメージを持たせるためという。
「松本というと、スイカやブドウ、リンゴの果物が有名だが、野菜もそうなってほしい」と販売担当者。セロリやキュウリ、小ネギが旬の松本産として売り出されている写真もあった。
実は、塩尻で生産する者として引っかかるものがないではない。一方で、「松本ブランド」に乗っかれるありがたさも感じる。一昨年11月に塩尻市農協が合併されてから、具体的な効果に触れるのは初めてかもしれない。
売り場は10月まで設けられるという。せっかくなので消費者からのフィードバックも伝わってくればと思う。
信州松本野菜、どうぞごひいきに。