【眺めてみれば】#6 赤れんがの煙突と北アルプスの共演(松本市)

住宅地にぽっとレトロな情景

風情ある赤れんがの煙突が空へと伸び、その後ろに北アルプスが広がる。煙突には「赤羽しょうゆ」の文字。宅地化が進む一帯にぽっと残るレトロな情景だ。
美ケ原温泉の温泉街にほど近い、赤羽味噌醤油(みそしょうゆ)醸造店の工場の煙突で、建てられたのは約100年前の1924(大正13)年。59年に台風で下部3分の1を残して倒壊したが、すぐに再建された。目を凝らすと、100年前のれんが部分は黒ずんでおり、歴史を感じる。
煙突は今も現役。豆を煮たり麦を炒(い)ったりするときの蒸気が通る。「台風が来るたびに『折れるのではないか』と心配する」。4代目社長の赤羽俊幸さん(66)は気をもむ。
雪山とのコントラストが美しい冬はもちろん、ソメイヨシノとの共演が見られる春、残雪の夏など、どの季節も味わいがある“名所”だ。