【野遊びのススメ】#38 キノコ採りに挑戦

必ず詳しい人に聞いて

秋の味覚の中でも記者の大好物はキノコ。この時期は買ったりもらったりして食べているが、山でキノコを採ったことはない。そこで県きのこ衛生指導員として県松本保健福祉事務所(松本市島立)で鑑定する「そば処かみじょう」店主の上條哲夫さん(48、山形村)に頼み、キノコ採りに同行させてもらった。

マツタケも!? 下山後は味も満喫

当日は快晴。上條さんの案内で午前8時から山形村内の登山道へ。キノコ採りは滑りにくい靴を履き、明るい午前中に行くのが鉄則。ストックを持参するとなおいいという。
車道から見える斜面を進むとすぐに「あったよ」と上條さん。開けた広場のような場所に生えていた。ハタケシメジとササクレヒトヨタケだという。
ササクレヒトヨタケは、真っ白でツクシのような形。かわいいけれど本当に食べられるの?と思い尋ねると、「もちろん。一晩で柔らかくなってかさが溶けてしまうので、収穫したその日のうちに食べるのがお勧め」。
道を進むとかさが茶色でツルツルとした、いかにもおいしそうなキノコを見つけた。初めての発見に喜んで手を伸ばそうとした瞬間、「それは毒キノコのカキシメジ。シイタケによく似ているので注意して」と上條さん。
「かさの裏のひだや柄など種類によってそれぞれ特徴がある。詳しい人と一緒に探し、食べられるキノコを一つずつ覚えていくといいよ」と助言してくれた。
上條さんはこの時季、週に2~4日、山を訪れてキノコの様子を見るという。気象条件や場所によって出方は異なるといい、「例年はこの辺りだと7月ごろから出始める。今年は例年並みの量だが、子どもの頃に比べたらかなり減った」。
しばらく行くと松の木があった。「ひょっとしてマツタケが…」と思い、周りを探すが見当たらない。
諦めかけたとき「ほら、ここに」と上條さんが指で地面を指す。でも形は見えない。土を触った感触で分かるという。言われた通りに土をそっと指でかくと頭が見えた!傷めないよう丁寧に周りを掘って採った。
約3時間の散策で、ハナイグチやアミハナイグチなど6種類のキノコが採れた。記者は大満足だったが「今日は30点の出来」と上條さん。
下山後は、収穫したキノコでおひたしや炒め物などの料理を振る舞ってもらった。取りたての味は格別だ。
上條さんは、今年の鑑別(11月4日まで)ではナラタケが多く持ち込まれているといい、「人からもらったり見分けがつかないキノコは、必ず食べる前に保健所や詳しい人に聞いてほしい」と強調した。