「自然の中で」自由保育所 ひかりの子

安曇野市穂高柏原にある自由保育所「ひかりの子」。安曇野キリスト教会に付属する形で2011年に開園し、12年目になります。保育責任者の二子石京子さん(68)に、設立の経緯や思いを聞きました。

目標同じ夫婦で力合わせ

★立ち上げ
二子石さんは旧穂高町(現安曇野市)生まれ。県短大(現長野県立大、長野市)で幼児教育を学び、卒業後は横浜市内のキリスト教系私立幼稚園に就職。そこで聖書や神の言葉に出合いました。
結婚、出産を挟み9年勤務した後退職。亡くなった両親の家を継ぐため、家族で帰郷します。4歳の長男を育てながら復職したのがキリスト教系幼稚園で、14年勤務します。
その後、野外保育に興味を持ち、実践している保育園に転職します。改めて子どもたちが自然の中で思い切り遊ぶ良さを実感しますが、5年ほどたった頃、神の言葉がない日々を寂しく思うようになります。
そんな気持ちを知った夫の和幸さんが「ここ(自宅)で教会も保育園もやってみないか」と言います。50代半ばの二子石さんは「退職に向かう年齢で絶対に無理」と断りますが、何度も説得され決断します。
洗礼は受けていましたが、牧師の資格を取るため通信教育の神学校で3年学び、「ひかりの子」を立ち上げました。
★外遊びと食育
保育所が大切にしているのは、外遊びと食育、そして子どもたちが自ら考え、自主的に動く力を育むことです。
「今の家は快適で、ともすると暑さ寒さなどを感じにくくなってしまう場合もあります。自然の中で五感を使って遊ぶことで、風の心地よさや四季の移り変わり、ちょっとした危険などを感じられるようになります。これは口で教えられないことです」
月~水曜は給食、木金曜は家の弁当で、給食は和幸さんが中心になって手作りします。畑で子どもたちと一緒に野菜を育て、収穫したら給食で食べます。野菜嫌いの子もいますが、調理を工夫したり根気よく促したりします。
「できるだけいいものを食べさせたいと思っています。定年退職すると夫婦の会話がなくなるという話を聞きますが、うちは目的や目標が同じなので良い関係を築けています。毎年干し柿をたくさん作っていて、今年はパンに練りこんでみました」と和幸さん。
★これから
水曜日は園の開放日で、希望する保護者は礼拝と給食に参加できます。育児の悩みを話す時間も設けていて、ある母親は「すごく自分のためになっています。おいしい給食をいただけるのも楽しみの一つです」と言います。
「みんな違っていい」ということも子どもたちに伝えているという二子石さん。次の目標は、学校でつまずいた子どもたちの居場所をつくること。「1人では無理でも、夫婦でやればできることもあります」