J3松本山雅FCは､5日に敵地で行われた今季開幕戦で奈良クラブを2-0で破り､上々の滑り出しを見せた｡ホーム開幕戦は､あと2試合を経た26日のテゲバジャーロ宮崎戦｡運営会社は｢サンプロアルウィンの集客でもスタートダッシュを｣と､チームと同様に変化をいとわず､新手を用意｡昨季果たせなかった1試合平均の観客1万人以上の達成を目指す｡
26日ホーム開幕戦へ
｢かわいいー｣｡女子高校生が声を弾ませた｡視線の先は､山雅のマスコット･ガンズくんの顔をかたどった厚手のチラシ｡裏返すと､ホーム開幕戦の試合情報が載っている｡6日朝､松本駅前で運営会社が配った｡
｢例年はカイロを配ったが､このチラシはとてもいい｡たくさんの人が手を出してくれる｣と､配布に参加したサポーターの渡辺恵里さん(47､佐久穂町)｡例年､ホーム開幕戦のPRに協力し､前日の奈良戦は現地で応援した｡｢今年は配りがいがある｡仲間もみんな欲しがります｣
チラシは､運営会社が｢どうしたら受け取ってもらえるか？｣と知恵を絞った｡長方形ではない型抜きを初めて採用し､片面はあえてガンズくんだけにした｡｢これまでと違うことをしたかった｣と小澤修一･事業推進部長(43)｡背景には､リベンジしたいとの思いがある｡
昨季も､開幕前に1試合平均の観客1万人以上という目標を掲げたが､結果は8401人｡1万人を超えたのは､AC長野パルセイロとの信州ダービー(10月30日)だけだった｡
今季は､すべての席で声出し応援ができることになりそうだ｡｢観客に戻ってきてもらい､節目の試合では1万2000人を超えたい｣と小澤部長｡その手始めが開幕戦だ｡
ガンズくんのチラシは予想以上の手応えで､製作数を当初の2万枚から4万3000枚に倍増した｡そのチラシで告知している高校生先着1000人の無料招待も､開幕戦では初の試みだ｡
盛り上げ策では松本･塩尻両駅の前に､大量のバナーや旗を一斉に出したのも初めて｡塩尻駅前広場では､20本ほどがはためく｡協力した塩尻市秘書広報課によると､行政が関わる緑化フェアや選挙以外では､初の大規模な掲出という｡
26日のサンアル周辺のイベントでは､子ども向けのバルーン遊具が目玉の一つになるが､こちらは逆に山雅色を控えてPRする｡山雅やサッカーに関心がない人も､スタジアムに来やすい雰囲気づくりを狙う｡
｢新たなファンにも届くように､新しいことに前向きにチャレンジしたい｣と事業推進部の渡邉はるかさん｡大型連休や夏休みでも､新たな集客策を打ち出すという｡