【記者兼農家のUターンto農】#113 熱中症

農作業中の発症、信州は多い

農作業をしていて熱中症になり、救急車で運ばれる人はどのくらいいるのか。都道府県別でみると、長野県は最多の部類に入る。
消防庁が熱中症による救急搬送の状況を週ごとにまとめ、ホームページで公表している。分類の一つに、「農・畜・水産の作業を行っていた」がある。長野県の場合はおおむね農業と考えられるが、この人数が多い。最新の7月24~30日の集計では10人で、全国4番目。ここ2週連続で2桁となり、これは全国唯一だ。
なぜ多いのか。県農村振興課に聞くと、農業者そのものの多さが挙がった。田畑で働く人が多ければ、そこで熱中症になる人も多くなるという理屈だ。
2020年の国の調査で、農業に従事する人は長野県に約10万人いる。全国で4番目だが、1位の新潟県との差は5千人足らず。そして、確かに新潟の熱中症搬送者数も最新データで11人に上る。
同じ期間では、北海道の12人も目につく。長野も北海道も比較的涼しいとされるが、関係ないのだろうか。
結局、それぞれの人がそれぞれの状況に応じてことに当たるしかないのだろう。
東京の新聞社で働いていたとき、よく頭痛に悩まされた。ストレスのせいだと思っていたが、Uターンしてから、夏場にさしてつらくなくても頭痛に襲われることに気づき、熱中症の兆候かもしれないと思った。それから、草刈りなどではペットボトルの水を持って行くようになった。頭痛は減った。
農作業の熱中症で怖いのは、広い田畑に1人でいるケースが多いことだ。「誰にも助けを求められずにそのまま…ということになってしまう」と県農村振興課。今年も県内で1人が農作業中の熱中症で亡くなっている。
携帯電話を持って行くことが最悪のケースを防ぐ有効策かもしれない。そういえば、6月に取材した農機具の安全講習会でヤンマーの担当者が同じことを言っていた。農家とは、何かと孤独への対処法を求められるものだ。