【眺めてみれば】#35 昭和のレガシー(松本市寿北)

当たり前の風景時代と共に…

電話ボックスと火の見やぐら。かつては集落の風景に当たり前のように溶け込んでいたが、今ではすっかり見かけなくなった。上瀬黒公民館(松本市寿北8)のすぐ近くで、並んで残る二つの“昭和のレガシー”が確認できる。
記者が社会人になった頃、携帯電話はまだ普及しておらず、街中の公衆電話は、公私ともになくてはならない連絡手段だった。何十年ぶりかに入ってみた電話ボックスは、清掃はされているようだが、備え付けの電話帳はない。電話機の脇のプレートには「1987年6月製造」とあった。
隣の火の見やぐらは鉄骨製で、最上部の見張り台に2台のスピーカーが設置されている。今、このレガシーたちが使われるとしたら、災害が起きた時か。だとしたら、ノスタルジックな雰囲気に感傷に浸り、眺めてばかりもいられない。