競技ダンスの道歩むプロ2年目 松本出身 古池茉耶

男女のペアが時に優雅に、時に激しく踊る社交ダンス。このダンスの技術や芸術的な要素を競うのが競技ダンスだ。昨春、プロとしてのキャリアをスタートさせた松本市出身の古池茉耶(23、東京都)は「パートナーと2人で表現できるのがいい」と、競技の魅力を語る。

パートナーと息を合わせて

都内のカワハラ・ダンススタジオ。JBDF(日本ボールルームダンス連盟)全日本プロ選手権を3度制した河原央(ひさし)さんが主宰するこの教室で、古池はペアを組む山本哲聖(22)と練習している。背筋を伸ばし、りんとした表情で向かい合った2人が、体の隅々まで神経を行き届かせるように踊る。めりはりが利いた動きの中に優雅さが漂う。
山本も昨春、東北大を卒業してプロになり、直後の4月から古池とペアを組んだ。「体の動きや表現の仕方など、抽象的なことを分かりやすい言葉にしてくれて助かる」と古池。共に上を目指す、信頼の置けるパートナーだ。

古池は小学1年生の時、知り合いが経営する教室でダンスを始めた。すぐに踊るのが好きになったが、松本蟻ケ崎高ではディベート部に所属し、教室に通ったのは週1回ほど。進学した獨協大(埼玉県草加市)でも、1年時はダンスをしていなかった。
転機は2年生の時。大学の友人に誘われ、学生の競技ダンスの世界をのぞいた。「(私と)同じ年代の人たちが競い合っている」姿に刺激され、踊ることを再開。3年時から本格的に取り組み、4年生になって河原さんの教室の門をたたいた。
卒業後の進路選択を迫られた昨春、「ダンスの技術を磨き続けるにはどうしたらいいか」と自問自答。河原さんのスタジオに所属して教室の講師を務めながら、プロの道を歩むことを決意した。

成長を実感し「いい流れ」で

古池・山本ペアが取り組むのはワルツ(3拍子でテンポゆったり・回転多い)、タンゴ(4拍子でスローとクイック)、スローフォックストロット(4拍子でゆったり・回転少ない)、クイックステップ(4拍子で速い)、ヴェニーズワルツ(3拍子で速い)の5種目を踊るスタンダード部門。現在のランクは上から3番目のC級だが、昨年5月の同級競技会で優勝しており、近くB級に昇格する見込みだ。
昨年の前半は、最上位のA級競技会では最終予選に残れなかったが、後半は残れるようになり、「ペアの成長を実感している」と古池。「今年はB級として臨むが、いい流れできている。早くA級に昇格し、5年以内にJBDF全日本選手権のファイナリスト(決勝で踊る6ペア)に」と目を輝かせる。

【プロフィル】
こいけ・まや 2000年6月、松本市生まれ。今井小―鉢盛中出。獨協大3年時に冬季全国大会タンゴ2位、4年時に冬季全国大会スローフォックストロット3位。23年5月C級デビュー戦で優勝。163センチ。