女性3人が子ども向けワークショップ “好き”を表現する体験を

子どもたちが好きなものを見つけて大切にし、人生を豊かにしてほしい─。そんな願いでつながり、クリエーティブな仕事や活動に励む子育て中の女性3人が、「好きなものを表現する楽しさ」を体験するワークショップ(WS)を、白馬村などで展開している。
アートや音楽を通じて気持ちを表現するWSを開くNPO「Wonders Art and Music(ワンダース アート アンド ミュージック)」を立ち上げたのは、作家でデザイン専門学校講師の北澤麻希さん(39、同村)、ピアノ教室主宰の服部知子さん(49、同)、織作家の下釜真理子さん(39、長野市)。参加する子ども同様、その未来を考える大人の目も輝く。

わくわくに出合う場 子どもに

ワークショップ(WS)を開くNPO「Wonders Art and Music」。「Wonders」は、好奇心と、「1(ワン)ダース(12個)」にかけた。子どもたちと、1ダースよりもたくさんのわくわくとの出合い、体験の場を地域に増やそう─と動いている。
昨年12月、白馬村北城の白馬ノルウェービレッジで開かれたWS。「創作と音楽で季節を楽しもう!」をテーマに、地域の演奏家によるコンサートのほか、しめ縄作り、クリスマスカード作りや音遊びなど、地域の未就学児から中学生までの約30人が、無料で多彩な体験をした。
段ボール板の両側に切り込みを入れた簡易織り機を使った「段ボール織り」は、下釜真理子さんが手ほどき。さまざまな色や太さの毛糸から好きなものを選び、個性的なコースターなどを織った。アクセントにリボンを織り込むといった工夫も見られ、同村の小学4年生女子は「最初は難しかったけれど、だんだん楽しくなってきた」と、熱中していた。
コンサートの前には服部知子さんが「音楽クイズ」を出題し、この日登場したフルートやファゴット、ピアノの歴史や名前の由来などを紹介。子どもたちの興味をそそった。

「子どもたちが思いや考えを表現する、そのためのさまざまな方法を体験できる場、サードプレイス(第3の居場所)的な場を、手探りでも自分たちでつくっていけたら」との思いをふくらませていた代表の北澤麻希さん。村内で開かれた子ども向けイベントや、長野市の機織り体験ができる店で知り合った縁で、思いを共有する2人に声をかけ、NPOとして始動したのは2022年の秋だった。
「気持ちをアートや音楽で表現しよう」がテーマのWSは、昨年5月に初開催。例えばチョコレートが好きな子は、そのものではなく食べた時の感じを抽象的に絵に描いたり、「どうして好きなのか」を掘り下げ、音の高低、テンポの遅速、拍子などで表現して即興で楽器を演奏したり。主に3人が講師で、その後も内容を変えながら、村内や須坂市などで月1回ほどのペースで開催を重ねている。
「参加者の反応からも、こういった場が求められていると実感した」と北澤さん。服部さんは「生き生きしている子どもたちの姿を見て、自分の中にある好きなこと、自分そのものを表現して夢中になる時間はとても大切だと思う」。下釜さんも「他人と自分との違いを認め合える場にもなっていて良かった」と、手応えを口にする。
「自分が何が好きなのか」がまだ分からない子もいる。気軽に参加してほしいとの願いから、昨年12月のWSは国立青少年教育振興機構の「子どもゆめ基金」の助成を活用し、参加費を無料に。人脈を生かして講師を招くなど、今後も多彩な内容のWSに無料で参加できるよう計画している。北澤さんは「いろんな悩みを抱える子や、障がいのある人たちも一緒に参加できる場もつくりたい。地域とも連携できたら」と展望している。

【次回のワークショップ「なまえをおどろう!」】
5~9歳 3月23日午後2~4時、10歳以上 24日午前10時~正午、白馬ノルウェービレッジ(白馬村北城)。自分の名前の字画をヒントに体の部位に注目し、空間全体を使った自らの動きとリズムを見つける。講師は振付家・ダンサーの酒井幸菜さん。定員は各日先着15人。無料。村外からの参加も可。22日までに申し込む。北澤さんTEL080・5522・7362